白血病を公表した競泳女子の池江璃花子(18=ルネサンス)に、日本代表で戦った仲間たちが全力で泳ぐ姿を届ける。

当初は池江がエントリーしたコナミオープンの前日練習が15日、千葉・習志野市内の千葉県国際総合水泳場で行われた。瀬戸大也(24=ANA)は「命の方が大切です。またあのかわいい笑顔を見られるように自分たちは祈るだけです」と1日も早い回復を願った。

それぞれが池江の回復への祈りを込めて、ベストを尽くして泳ぐ。

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4月の日本選手権に向けた試金石となるコナミオープン。衝撃的な白血病公表からわずか3日、大会パンフレットには「池江璃花子」の名が印刷されていたが、出場できない。主催者は選手、ファンが書き込める大きな白布を準備。16日から会場2階入り口で、池江へのメッセージを募る。完成した寄せ書きは池江側に届けられる予定だ。

池江とともに代表で戦ってきた選手たちも言葉を絞り出した。瀬戸が言う。

「びっくりしました。璃花子ちゃん本人が一番残念に思っていると思う。東京オリンピック(五輪)が目前で(病気を)治して五輪という声もたくさんあると思いますけど、まずはやっぱり命の方が大切です。とにかく早く元気になって、またあのかわいい笑顔を見られるように祈るだけです。自分たちは、祈ることしかできないので」

2年連続で池江と一緒にオーストラリア合宿を行った長谷川涼香は「去年よりもきつそうで、調子が悪そうだなと感じた。(池江には)『誰にでもあるから』というふうに言ったけど」。オフは一緒に買い物を楽しんでおり、その病名は全く想像できなかった。合宿を先に切り上げた池江からは、別れ際に「先に帰るね」と言われたという。「ニュースで見てすごく驚いた。璃花子がいない分、皆でカバーしたい」と言った。

日本代表の平井伯昌ヘッドコーチはこの日、代表常連組の瀬戸、中村克、清水咲子、鈴木聡美らと個別で話をした。平井HCは、選手が活躍することで池江の応援ができるように、競泳界の「一致団結」を掲げている。「久しぶりに顔を合わせて(選手の)状況を確認したかった。中には力強い言葉を話してくれた選手もいました」と振り返った。

池江と同じルネサンス所属、同じバタフライで1歳上の持田早智は「これまで璃花子に頼っていた自分もいた。戻ってきても安心して泳げる環境を、作っていかなきゃ」と言った。池江には「ニュースで見た。応援してるよ」とメッセージを送った。池江からの返信は「頑張ります」だった。18歳に向けて、仲間たちが全力を尽くし活躍のニュースを届ける。【益田一弘】