フィギュアスケートのチャレンジカップ(オランダ・ハーグ)で今季国際大会6戦全勝とした女子の紀平梨花(16=関大KFSC)が鬼門突破へ、総仕上げ合宿に入る。26日に現地から関西空港へ帰国。中1日で28日から米コロラド合宿へ出発し、世界選手権(3月20日開幕、さいたまスーパーアリーナ)での初出場初優勝に向けて、出遅れが続くショートプログラム(SP)対策に乗り出す。

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今や恒例となった帰国時の騒々しさを冷静に受け止め、紀平は心を次に向けた。現地時間25日にロシアの世界選手権代表が発表され、18年平昌五輪を制したザギトワらの出場が正式決定。16歳はフライト疲れを感じさせず「『あと1カ月あるかな』って思っていたら、それもない。もう一瞬。最後の試合は練習を頑張ってきて、そこで一番いい演技を出せた人が優勝だと思う。どれだけ本番で気合を入れても、練習の成果がたぶん出る」と言い切った。

2日後の28日には、浜田美栄コーチと米コロラドへ出発。10日間ほどの合宿は「基礎的なことはとりあえず後にして、とにかく曲かけ(通し)と、ケガをしない体作り」に励む。1月の同地合宿ではフリーの振り付けを手直しし、4回転ジャンプも特訓。だが、今回は1枠45分間の氷上練習について「プログラムの練習に(1日)3枠ぐらい」とし、リンクを長時間使える利点を生かして「一番効率のいい環境で頑張りたい」とやる気をみなぎらせた。

初の世界女王への近道は、直近3戦で68点台以下となったSPの修正だ。昨年12月のグランプリ(GP)ファイナルは82・51点で首位発進し、77・93点で2位だったザギトワらに重圧がかかった。出だしの重要性を実感するからこそ「世界選手権はまずショートっていう気持ち。イメージが完璧に整った状態で挑みたい」と猛練習で自信を育む。

大舞台での青写真はすでに出来上がっている。「あまり順位は狙いすぎず、完璧な演技で『後は願うのみ』っていうような。自己ベストを出して、笑顔で終わりたい」。総仕上げにも悔いは残さない。【松本航】