日本人初のNBA選手、田臥勇太(38=栃木)が八村の1巡目指名を「奇跡」と表した。「自分も何度もチャレンジしてやっと夢の舞台に立てた。米国人だって難しい中で奇跡に近い。もうこの先何十年も出て来ない存在だと思う」と熱く語った。

八村を高校3年時に見ていた田臥は、2年前に会った時に成長した体格や筋肉の付き方に驚いたという。全米体育協会(NCAA)で優勝を狙うような一流大学という環境が八村を変えたと考える。「戦う姿勢をアピールするようになった。日本のままだと違った。自分を表現する力、バスケットのとらえ方などが自然と身に付いたのでは」と分析した。

技術面についても評価は高い。自身がプレーしていたころは、ポジションごとの役割がはっきりしていたが、現在は欧州の器用な選手も増え、攻撃のスタイルが変わってきた。中国人センター姚明(ヤオ・ミン、229センチ)のように高身長で起用されていたアジア選手のイメージも八村や渡辺が変えたという。「エリアの中も外も動けるのが一番の違い。塁はリバウンドもできるし、3点シュートも打てるオールマイティーな選手」と話す。

現在の八村を評価する一方で、NBA選手となった今後については、自身の経験もふまえ、警鐘を鳴らす。「ロースターに選ばれてもカットされたり、練習に行こうとしたら突然解雇されたり。トレードやオーナー交代での戦力外など自分の力ではどうにもならないこともある。落ち込んでいる暇はない。すぐに次の環境を探さなければ、他の選手に先を越される」。

それでも八村のNBAでのプレーには楽しみと期待を抱く。「チームメートやタイミングも良かった。このチャンスを引き寄せたのは素晴らしいこと。代表も含めここからがスタートという気持ちで頑張って欲しい」と語った。田臥は八村の活躍を信じている。【松熊洋介】