【ニューヨーク20日(日本時間21日)=桝田朗】ついに「NBA八村」が誕生した。20日(日本時間21日)、NBAドラフトがニューヨーク・ブルックリンのバークレイズ・センターで行われ、八村塁(21=ゴンザガ大)が1巡目9位でウィザーズから指名を受けた。左襟に日の丸のピンを付けて登場した八村は、名前を呼ばれると、家族らと抱き合い、チームの帽子を受け取ってかぶりながら壇上に上がった。その後、アダム・シルバーコミッショナーと笑顔で握手を交わし、インタビューには1人で応じた。

八村 クレイジーですね。現実じゃないような気もしますし、日本にとっても大きいこと。まずは中学のコーチに感謝したいですね。最初に練習に行った時に彼は「NBAに行ける」と言ってくれたのでそれを信じてやってきた。高校のコーチ、大学のコーチにも感謝したい。(日本語でメッセージを求められ)やりました。日本人初NBAです。

前日は取材対応やイベントに引っ張りだこだった。日本から駆け付けた母麻紀子さんら家族と会食、ゴンザガ大のロイド・アシスタントコーチとも会った。指名上位候補者による会見では、歴史的瞬間を前に「信じられない。日本のバスケット界にとっても大きなこと」と話していた。

富山・奥田中時代にバスケットボールを始めた八村は、中2で初めて世代別代表に選ばれた。宮城・明成高では1年からレギュラーで、ウインターカップ3連覇を達成。中学時代の恩師に「NBA選手になれ」と言われ、高1冬の飛躍的な成長ではっきりとした目標となり、夢に向かって米ゴンザガ大へ進学した。

ゴンザガ大入学時は英語もできず、1試合平均わずか2・6得点に終わった。明成の恩師・佐藤久夫コーチから礼儀や上下関係を教わり、精神的にも成長したが、自分のプレーができずにいた。そんな時、同大のフュー監督から「もっと攻撃的になれ」と言われ、積極的にアピールするようになりレギュラーをつかんだ。昨年11月のマウイ招待では、全米スカウトが見守る中、優勝候補だったデューク大を破って優勝。1巡目1位指名を受けたザイオン・ウィリアムソンらスター軍団相手に残り1分から2回ブロックした後にフリースローを決めMVPを獲得した。2年前ゴンザガ大が決勝まで進んだ年にはレギュラーでなかった八村。2年たち、1試合30点以上を挙げるエースに成長し、夢を実現させた。

ドラフトで日本人が指名されたのは、81年ウォリアーズから8巡目(全体171位)で指名された岡山恭崇以来2人目で、契約すれば初となる。またプレーすれば田臥勇太(38=栃木)、渡辺雄太(24=グリズリーズ)以来、日本人3人目となる。