ついに「NBA八村」が誕生した。20日(日本時間21日)、NBAドラフトがニューヨーク・ブルックリンのバークレイズ・センターで行われ、八村塁(21=ゴンザガ大)が1巡目9位でウィザーズから指名を受けた。

八村には、才能にあふれるバスケットボール選手の弟がいる。日刊スポーツでは、東海大バスケットボール部2年の弟阿蓮の思いに迫る。

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兄と一緒に東京オリンピック(五輪)のコートに立つ--。東海大バスケットボール部でプレーする八村阿蓮は、日本代表について「将来的には日本を背負って世界でプレーできる選手になりたい」と語る。

小6の時にそれまでやっていた野球や陸上をやめ、兄塁がやっていたバスケットを始めた。高校は兄と同じ、宮城・明成高に進学。2学年上の兄がウインターカップで3連覇を達成したが、翌16年、阿蓮の2年時に1回戦で敗れ記録が途切れた。「それから負けるのが本当に悔しくなった」。あまり勝利にこだわることなく、ただ何げなくバスケットをしていただけだった意識を変え、1年後の同大会でリベンジして優勝した。「努力が実った濃い1年間だった」。卒業後には東海大へ進学。世代別の日本代表にも選出され「プロがやっている戦術を大学でも教えてもらえる。質を高めていけば大丈夫だと思う」と話した。

高校入学時には188センチあった身長は3年間で10センチ伸びた。小学校時代の100メートル4位の脚力も生かし日本代表入りを目指す。「リバウンドが自分の強み。3点シュートも打つ本数を増やしていきたい」。控えめな性格だが、兄と同じバスケットへの熱い思いを持ちながら、スターになった兄の背中を追う。

【松熊洋介】