【ウィンブルドン=吉松忠弘】さあ打倒フェデラーだ! 世界7位の錦織圭(29=日清食品)が同58位のククシュキン(カザフスタン)に6-3、3-6、6-3、6-4で勝ち、2年連続の8強入り。10日に予定されている準々決勝で、大会最多8度の優勝を誇るフェデラー(スイス)と、テニスの聖地で初めて対峙(たいじ)する。勝てば33年佐藤次郎以来、日本男子86年ぶりの4強入りで、トップ5復帰も確定する。

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錦織が勝利した瞬間、今大会で最大の雄たけびが、2番コートに響き渡った。「カモーン!」。両手を突き上げ、右手を何度も振り上げた。センターコートで早々に4回戦を終わらせたフェデラーに、届けとばかりの歓喜の叫びとポーズだった。

相手はツアーでも屈指の回転が少なく、弾まない球を駆使する難敵だ。しかし、我慢して少ないチャンスをものにし「しっかり試合をやった充実感があった」。今大会で初めて1セットを落としたが、手応え十分で準々決勝に挑める。

フェデラーは小さい頃からのあこがれだった。チャン氏がコーチに就任する時、錦織は「フェデラーがあこがれ」と話したら、「あこがれでもネットの向こうでは敵」とたしなめられた。巨大すぎる相手に、最初は遠慮があったという。

それが4回戦後の会見では、さらりと「勝てると思ってる」と答えた。「もちろん、対等とは思ってないが、(この)4~5年、怖さは前よりなくなった」。直近の対戦は18年11月のツアー最終戦で、その時は勝った。「あの時は、お互いに最悪すぎて何とも言えない」と話しがらも勝利をものにした。

今大会、準々決勝までに費やした試合時間は合計511分。ベスト8に進出した4大大会12回の中では、15年全仏の387分に続く短さだ。ただ、15年全仏は3回戦が相手が棄権し、プレーしなかった。4試合すべて戦った中では最短で、まだエネルギーは満タンだ。68年オープン化(プロ解禁)以降、日本男子初の2度目の8強入りを胸に、歴代最強選手に挑む。

◆WOWOW放送予定 10日午後8時55分から。11日午前1時から。ともにWOWOWライブ。男子シングルス準々決勝ほか。生中継。