瀬戸大也(25=ANA)が、日本人最多の通算4個目の金メダルを獲得した。前半から飛ばし最後の50メートルで失速も逃げ切った。200メートルとの2冠でともにオリンピック(五輪)内定。日本人の2冠は03年の男子平泳ぎの北島康介以来16年ぶり、通算数も北島を上回った。

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もぐもぐもぐ…。瀬戸の活躍には綿密に計画された行動があった。梅原コーチは「休憩の取り方、栄養面、体重のコントロール。サポートしていただいている」。今大会は「味の素」の協力で、レース直後の会場で弁当を食べた。

大会初登場の23日深夜11時。200メートルバタフライ準決勝を終えて弁当を開いた。白米200グラム、主菜「とろ卵豚キャベツ」と副菜「ピーマンとツナのあえ物」「昆布と椎茸の煮物」。あぐらをかいて仲間と食べた。選手村に戻るより約1時間前倒しの夕食。体力回復を早める目的だった。

大会中の行動は事前にすべて分刻みで決まっている。取材エリアに来る前はゼリー飲料をごくり。3食+補食で1日15回以上も栄養を入れる。日々の栄養管理もばっちりだ。妻の優佳さんが「味の素」と共同で献立を考えて、料理。体重など日々のデータも担当者に送信。担当者は「体は正直ですから」。数値を見れば、写真にないものを食べたこともわかるという。

ただし男子800メートルリレー予選に江原の代役で「おとこ気出場」したように四角四面ではない。この日は「リレーを泳いだ疲労があるほうが400メートル(個人メドレー)にはいいんで」と笑い飛ばしたように、柔軟なポジティブ思考がある。

「レースの日に力を出すプランニング」の追求は16年リオ五輪から始まった。今大会の結果も含め蓄積データは4年にも及ぶ。すべては東京五輪で金メダルをとるためだ。【益田一弘】