【ニューヨーク=吉松忠弘】世界1位の大坂なおみ(21=日清食品)が2連覇を逃した。同12位で今季2連敗のベンチッチ(スイス)に5-7、4-6のストレートで敗れ、全米での昨年から続いていた連勝が10で途切れた。

これで9日発表の最新世界ランキングで3位以下に転落が確定した。しかし、課題だったメンタルが崩れることもなく、今後に向けて確実に成長した姿を見せた。次戦は16日開幕の東レ・パンパシフィック(大阪)の予定。ジュニア王者の望月慎太郎(16)は初戦を突破した。

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試合に敗れたが、大坂の目に涙はなかった。曇った表情さえ見せず、しっかりと前を向いた。「負けたことは残念。でも、それ以上に(この大会で)人として思っていた以上に成長できた」。その顔には、ときおり笑みさえ浮かんだ。

メンタルが課題だったが、4試合を通じ、自分から崩れたことはなかった。攻守をかみ合わせた新たなスタイルを、冷静にプレーした。その心の落ち着きが、何よりうれしかったに違いない。「とにかく、物事を、あまり突き詰めないことね」。

全仏3回戦で敗れた後は、コートから、そのまま会見に直行した。ウィンブルドン1回戦で敗退した後は、「泣きそう」と会見を途中で切り上げた。しかし、この日は、しっかりとシャワーを浴び、きちんと前向きに会見をこなした。その姿は、我を忘れた以前の大坂ではなかった。

この日、大坂がどんなに振り回しても、ベンチッチはミスをしなかった。いつもなら、心の中がざわつくのに、相手の強さを受け止め対抗した。日本協会で大坂を担当する吉川真司女子代表コーチは「前を向く敗戦。いいプレーをしても、それを上回る人がいることを受け止めて、前に進む」と話した。

次戦は、生まれた大阪へ大坂が“里帰り”だ。「次はいいプレーが期待できそう」。3歳までしか大阪にいなかったが、食べ物の記憶だけは確かだ。「たこ焼き、お好み焼き、たまらない」。そこには、敗戦でうちひしがれていた以前の大坂の姿はなかった。

◆WOWOW放送予定 4日午前7時55分から。5日午前0時55分から。ともにWOWOWライブ。男女シングルス準々決勝ほか。生中継。