男子は2年連続出場の羽黒(山形)が難敵を退け、今年も初戦を突破した。優勝1度、2人のU-18代表を擁す土浦日大(茨城)を81-75で撃破。

先発の平均身長で約13センチ劣ったが、ガードに小柄な3年生3人を配し、スピード勝負の堅守速攻で名門の壁を崩した。

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戦術と用兵、そしてスカウティング-。羽黒の作戦が完璧にはまった。ベンチ15人の平均身長で約7センチ、先発5人に限れば「サイズで13センチ差。ボール運びが厳しい場面、勝負どころで3ガードを使うことを考えていた」(斎藤仁コーチ)。まずは身長差のハンディを、背番号「1、2、3」で並ぶ3年生ガード陣の俊敏性でカバーした。

シュート力でチームNO・1の170センチ渡部凌は20得点とエースの働き。165センチの西魁斗はファウルを誘ってフリースロー12本中9本を決め、173センチの樋口蒼生は5アシストとゲーム主将でコート全体をまとめた。樋口は「小さい自分たちが勝つにはスピードしかない。ずっと練習してきたことを表現できました」と振り返った。

新戦力も機能した。ほぼ公式戦経験のない1年生のモンゴル人留学生、193センチのエンフタイワン・イデルジャフランをセンターに投入。「リバウンドを解消できた」(斎藤コーチ)と、土浦日大の高さに対抗する切り札になった。同じく先発に初起用された今井弘己(2年)はチーム最多の23得点。ガード陣の「キラーパス」をゴール下で面白いように受け、2点シュートは12本中10本を沈めた。斎藤コーチは「相手も研究されたと思いますが、違う子が出てきてビックリしたのでは」と下級生の働きにも目を細めた。

スカウティングでは、3点シュートの名手・鍋田亜廉(3年)を密着マーク。「ダイヤモンド・ワン」という作戦で常に1人を張りつかせ、前半は1本も決めさせなかった。昨年も1回戦で茨城勢の取手二を下しており、斎藤コーチは「(佐藤)豊文先生には2連勝ですね」と今春から母校に戻った相手コーチに再び苦杯をなめさせた。過去最高は昨年の3回戦進出。樋口は「羽黒高校として初めてメインコートに立ちたい」とあと2勝を重ね、8強入りに挑む。【中島正好】