明成(宮城)は2年前の優勝を知る木村拓郎と蒔苗(まかなえ)勇人主将の3年生コンビが、3年連続8強へと導いた。市船橋(千葉)を95-73で撃破。

NBAウィザーズ八村塁の弟で17年の日本一メンバー阿蓮(東海大2年)がコートサイドで見守る中、一緒にプレーした3年生の意地を見せた。今日27日の準々決勝で全国総体準優勝の北陸(福井)と戦う。能代工(秋田)は桜丘(愛知)に60-77で敗れ、8強入りを逃した。

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「明成のキムタク」がチームを救った。第3クオーター(Q)に4連続失点し50-50。この試合で初めて同点に追いつかれたが、木村が勝ち越し点を奪い、流れを呼び戻した。ドリブルで勢いよく切れ込むと、相手を右手でブロックしながらレイアップシュート。大きく伸ばした左手から52点目が生まれた。

同Qでは相手のファウルを誘い得たフリースロー4本も確実に決め、8連続ポイントに貢献。28得点を奪って勝負を決めた第4Qの呼び水となった。チーム最多17リバウンド、同2位の15得点で攻守に躍動した。放ったシュートは13本中10本沈め、決定率は77%。「点を取りにいくというよりもディフェンスやリバウンドで流れを変えたかった。(同点に追いつかれても)あまり焦りはなかったです」と振り返った。

この試合、山崎一渉(いぶ)がチーム最多37得点を決めるなど、今大会を通じて1年生が注目を集めているが、経験豊富な3年生が果たす役割は大きい。最大17点差から同点にされたが、「慌てず落ち着いて」(木村)と声掛けし、相手の勢いを食い止めた。さらにコート外では下級生と一緒に食事したり、コミュニケーションを徹底している。

蒔苗主将とともに2年前の栄冠を知る木村は「同じことをやっても優勝できない。2年前の代とは違うチーム。1年間やってきたことを信じ、全力で粘って、いい伝統は受け継いで、自分たちのバスケをやりたいです」と先頭に立つ。佐藤久夫コーチ(70)は「勝因は、市船橋にいい川の流れと風が吹いている中、乗り切れなかった。うちが良かったわけではない。小さいチームだったが、あんなに頑張っていて、勉強させてもらいました」と話した。準々決勝は今夏の総体3回戦で敗れた北陸とリベンジマッチ。優勝へ第一関門を突破する。【山田愛斗】