19年ラグビーW杯日本代表プロップの稲垣啓太(29=パナソニック)が、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、母国に帰国した元オーストラリア代表NO8で同僚のデービッド・ポーコック(32)へ粋なプレゼントを贈った。

稲垣は3月下旬、政府の要請で帰国した同僚に「共にコロナに打ち勝とう」との願いを込めて、地元の新潟県で人気のご当地Tシャツ10枚を贈呈した。親日家で自然保護活動にも取り組むポーコックが、新潟Tシャツに興味を持っていることを知り、商品約300種の中から10種を厳選。製作する新潟Tシャツ委員会HPから自身も着用する名物焼きそば「イタリアン」や日本一の生産量を誇る「米」、県花の「チューリップ」などを選んで発注した。

関係者を通じて、注文の経緯を知った同委員会は、サプライズで“極秘製作”した稲垣の笑わないTシャツ(非売品)1枚も段ボールに詰めた。白のTシャツに鋭い目つきで武骨な表情の稲垣の似顔絵が一筆書きで描かれ、その下には「WARAWANAI」と記されて遊び心も満載だ。同委員会の渡辺修代表は「ポーコック選手に稲垣選手が新潟県民の誇りであることを知ってもらいたかった」と説明。ポーコックも気に入っているという。

今季トップリーグは2月下旬の第6節を最後に中止が決定。4季ぶりの優勝を狙ったパナソニックは、6戦全勝の暫定首位だったが無念の事態となった。優しさと強さを兼ね備える稲垣は、同僚とともに再びファンの前でプレー出来る日を信じて準備を続ける。【峯岸佑樹】

 

◆稲垣啓太(いながき・けいた)1990年(平2)6月2日、新潟市生まれ。3980グラムで誕生。幼稚園年長で体重40キロを超え、ホッピング遊びで遊技場の床が貫通したなど数々の規格外伝説がある。新潟工高-関東学院大-パナソニック。14年11月に日本代表入り。15年W杯イングランド大会、19年W杯日本大会出場。代表34キャップ。ポジションは左プロップ。愛称はガッキー。趣味はコーヒー。座右の銘は強くなければ生きていけない、優しくなければ生きてる資格がない。186センチ、118キロ。血液型A。

 

◆デービッド・ポーコック 1988年4月23日、ジンバブエ生まれ。8歳でラグビーを始める。14歳でオーストラリアに移住。ブリスベン・アングリカンチャーグラマー高卒業後、チャールズスタート大に進学。08年にオーストラリア代表に選出。16年にパナソニックに加入。相手ボールを奪う「ジャッカル」の世界的名手として知られ、W杯3大会連続出場。19年W杯後に代表引退を表明。ポジションはNO8、フランカー。趣味は森林浴。積極的に自然保護活動も行い、今年1月には群馬・太田市の自宅に監視カメラを取り付けて野生のタヌキの撮影に成功した。183センチ、102キロ。血液型A。