アメリカンフットボールの東西大学王座決定戦「第75回毎日甲子園ボウル」(13日、甲子園球場)は、関学大-日大の伝統の一戦になった。毎年学生日本一の座を争う舞台だが、今年は因縁もある。社会問題化した日大の反則タックルがあった一昨年5月以来の対戦。関学大応援団チアリーダー部は、今季初めてユニホームを着て応援に臨む。この一戦は、応援団にとっても忘れられない大会になりそうだ。

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関学大のチアリーダー部は、関西代表を決定する関西リーグのトーナメント決勝では、大学のガイドラインで上半身だけのダンスが認められていた。だが、準備が間に合わず「これではダンスを見せられない」と自主的に上はジャージー、下はスーツでハリセンを持って応援していた。

甲子園という最高の舞台でユニホームを着ることに指宿ひかり部長(4年)は「4回生にとっては最後のユニホームで、うれしい気持ちでいっぱいです」と声を弾ませた。

新型コロナウイルスの影響で、多くの学生スポーツも中止に追い込まれた。だが、悔しい思いをしたのは選手だけではない。後押しする応援団も、それと同じくらい活躍の場が失われていた。大学スポーツで、これまでに応援に行けたのは野球のみで、声を出せず、スーツで観戦という形だった。

関西のトーナメント決勝で活動が認められたのは、会場が広く、応援団と一般の観客が接触しない環境が整えられたからだ。立石瞳真(とうま、4年)応援団長は「関西連盟の人に『応援団がいないと盛り上がらない』と言っていただきました。応援に行けたことで、胸いっぱいになりました」と語った。

チアリーダーは、甲子園ではスタンドで距離を保って踊り、選手の後押しをする。勝てば社会人との日本一を決定する「ライスボウル」(来年1月3日、東京ドーム)に出場する。

ライスボウル進出なら、大学生活最後の舞台もこの日になるかもしれない。指宿部長は「距離が離れていても選手とお客さんをつなげられるようにしたい。絶対にライス(ボール)に行ってほしい」と願いを込めた。【南谷竜則】