小林陵侑(24=土屋ホーム)が合計268・9点で今季初勝利を挙げ、所属先の先輩でもある葛西紀明(48)に並ぶ日本男子歴代最多17勝目を挙げた。優勝は19年12月29日ドイツ・オーベルストドルフ大会以来37戦ぶり。今季は最高6位でなかなか表彰台にも立てない試合が続いたが、ついにレジェンドの記録に並んだ。

1回目136・5メートルを飛び4位で折り返し、迎えた2回目。雪が降る中、向かい風を受けながら飛び出した。空中姿勢を崩さず、テレマークもしっかり入れた着地。距離は134・5メートルとまとめた。19点をつけた審判もいた美しい飛型。得点を確認すると、ぐっと左拳を握り納得の表情。2位と0・3点の僅差を制し、逆転Vをもぎ取った。

思い出の地での快挙達成だ。16年1月24日、19歳でW杯デビューを果たしたのが同じ場所だった。いきなり7位に入った鮮烈デビュー戦から6シーズン目。18~19年シーズンには初勝利から一気に13勝をマークする強さで、日本男子史上初のW杯個人総合覇者に輝いた。W杯出場111戦目。昨季王手をかけ「50勝以上している選手もいるから、積み重ねていけたらいい」と、男子歴代最多53勝を挙げたシュリーレンツァウアー(オーストリア)を意識した発言で、その先を見据えていた。

小林陵にとって葛西は「師匠。いろんなことを教わった。全てが今につながっている」と尊敬する存在。葛西は「早く抜かして欲しい。どんどん勝って欲しいですね陵侑には」と愛弟子にエールを送っていた。次の1勝は師匠を超える単独最多18勝目となる。

<W杯ジャンプ男子の日本人個人優勝回数5傑>

1位 小林陵侑 17回

1位 葛西紀明 17回

3位 船木和喜 15回

4位 原田雅彦 9回

5位 岡部孝信 5回