24日に53歳で死去した「平成の三四郎」こと92年バルセロナ・オリンピック(五輪)柔道男子71キロ級金メダルの古賀稔彦さんが、16年前に手掛けた伝説の焼酎「女三四郎」が再び注目を集めている。

古賀さんの訃報を受けて製造元の大石酒造場(熊本・水上村)に、ファンから販売終了している「女三四郎」の再販希望の問い合わせがあるという。

大石長一郎社長(71)は「3、4年前に商品は終了してるのに、改めて古賀さんのすごさを感じました。報道で訃報を知った時はびっくりしましたし、まだ若すぎます。人を魅了する柔道に加え、優しい笑顔と力強い文字を書き上げる古賀先生にもう会えないと思うと本当に残念でなりません」と、無念な思いを口にした。

「女三四郎」のきっかけは、05年に古賀さんが水上村を訪れた縁で製造された。大石社長が古賀さんの躍動感ある文字の達筆ぶりを見て、新商品のラベルの題字デザインを依頼。商品名を考える中で、当時古賀さんが女子代表コーチを務めていたことと、代名詞である「三四郎」をかけて、88年ソウル五輪女子52キロ級銅メダルの山口香さん(56)の呼び名でもあった「女三四郎」に決めた。

商品は五百万石米と吟醸酒用の酵母を使用し、通常よりも10度程低い温度で発酵させた。日本酒に近い香りが特徴で、06年12月に「激しさと優しさの合わせ技」との古賀さんの人柄を表すようなキャッチコピーで発売した。年間約1万2000本を生産。全国の酒販売店などにも出荷し、当時話題になっていた。

本格焼酎「女三四郎」。平成の三四郎やファン、柔道関係者らにとっても、忘れられない酒になっている。【峯岸佑樹】