フィギュアスケート女子で全日本選手権2連覇中の紀平梨花(19=トヨタ自動車)が、名伯楽と22年北京オリンピック(五輪)の表彰台を目指す。8日、所属事務所がカナダ・トロントに練習拠点を移し、五輪男子2連覇の羽生結弦(ANA)らを指導するブライアン・オーサー・コーチ(59)に師事すると発表。7日午後(日本時間8日)に現地入りした紀平は「1日1日を大切に、練習を積み重ねていきたいと思います」と決意を示した。

五輪まで残り5カ月。日本女子のエースが1歩を踏み出した。新たに指導を受けるオーサー・コーチは、羽生や10年バンクーバー五輪女子金メダル金妍児(キム・ヨナ)さんら多くの名選手を育成。拠点となる1827年設立の会員制スポーツ施設「トロントクリケットクラブ」では手厚いサポート体制が整っている。

ジャンプ担当のジスラン・ブリアン・コーチからは過去に短期の技術指導を受けたことがあり、今季のフリー「タイタニック」を振り付けするデービッド・ウィルソン氏もチームに名を連ねる。その場での意見交換も可能となり「素晴らしい施設を備えた、恵まれた練習環境。オーサー・コーチや彼のチームの指導の下、北京五輪を目指すこととなり大変うれしく思います」と気持ちを新たにした。

昨季はスイスを拠点にステファン・ランビエル・コーチの下で、新たな引き出しを増やした。まずは10月に始まるグランプリ(GP)シリーズに向け、新鮮な環境で己を磨く。【松本航】

◆オーサー・コーチと教え子 84年サラエボ、88年カルガリー五輪男子銀メダルでカナダ出身のオーサー・コーチは06年、金妍児(韓国)の指導をきっかけにコーチに専任。10年バンクーバー五輪金メダルに導き、11年からフェルナンデス(スペイン)、翌12年から羽生を指導。五輪では羽生が14年ソチ、18年平昌と2連覇、フェルナンデスも平昌で銅メダルを獲得した。18-19年は平昌五輪女子銀メダル獲得後のメドベージェワ(ロシア)を指導し、シーズン中は苦しみながらも世界選手権で3位。「チーム・ブライアン・オーサー」として、各ジャンルに秀でた指導陣の力を結集させている。