カーリング混合ダブルスの日本代表決定戦(北海道稚内市)が18日から3日間行われる。ロコ・ソラーレが劇的に代表の座をつかんだ先週の女子に続き、今週は男女のペアによる熱戦が期待される。

男子代表コンサドーレのスキップ松村雄太(31)は義妹の吉田夕梨花(27=ロコ・ソラーレ)とペアを組み、実妹の松村千秋(28=中部電力)、谷田康真(27=コンサドーレ)のペアらと対戦する。日本代表の座をめぐって繰り広げられる「きょうだい対決」。実父の松村保さん(60)に、決戦を前にした心境を聞いた。

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混合ダブルスで松村きょうだいが対戦するのは、今年2月の全農日本選手権決勝以来。前年に優勝した妹千秋のペアが勝てば日本代表に決まるはずだったその一戦では、兄雄太のペアが連覇を阻み、代表決定戦にもつれ込むことになった。決勝後の会見で悔し涙を浮かべた千秋。それを見た雄太は「勝てたのはすごくうれしいが、妹が泣いているのを見ると心苦しい」と、複雑な心境を吐露した。

2人の父保さんも選手として、なぎささん(61)との夫婦ペアで日本選手権に出場していた。報道陣の前で涙ぐむ娘の姿を遠目に確認し、「千秋は感情を抑えるタイプ。人前で泣いている姿を見せることはほとんどなかったので、本当にびっくりした」と振り返る。

松村家は4きょうだい。長野県軽井沢市で育った4人の子どもたちは、全員がカーリングに親しんできた。2番目に生まれた長男の雄太と3番目の次女千秋は3歳違い。「雄太は自己中心的な性格だし、千秋も折れないしで、中学や高校生ぐらいのころまでは毎日のように大げんかをしていた」と、父は苦笑いを浮かべて明かす。そんな2人も大人になるにつれ、お互いの存在を認め合う、仲の良い兄と妹へと成長。一流カーラーとしての道を歩んできた。雄太は吉田姉妹の長女(元選手)と結婚したため、ペアを組む夕梨花は義妹になる。

そんな兄と妹が、日本代表を懸けて争う大一番。「回りの人たちからは『大変ですね』とよく言われます」と笑う保さん。周囲の声をよそに、父は達観した心境でいるようだ。「どっちかが勝てばどちらかが負ける。それが勝負事。ただ、こういう大きな舞台に2人が立てていること自体が光栄なこと」。日本選手権決勝のときと同様に、どちらか一方を応援するわけではない。ひたすら愛情あふれる目で、勝負の行方を見守ろうとしている。【奥岡幹浩】