全日本選手権3連覇中の小松原美里(29)尊組(30=ともに倉敷FSC)が氷の感触を確かめた。

先週末まで行われた22年北京オリンピック(五輪)テスト大会のアジアンオープントロフィー(北京)に出場予定だったが、拠点のカナダからの移動が困難なため欠場。そのため今大会がシーズン初戦になり、美里は「はじめがGPシリーズになったことがないので新しい経験」と話した。一方で「氷が(アイスホッケーの)NHLサイズで、なかなか経験することがないんですけど、2人で確認しながら」と美里。尊は「GPシリーズの緊張感は他とは違うけど普通の感じでできた」と、その中でも手応えをつかんだ。

日本の岡山から、今年9月にカナダ・モントリオールの拠点に戻った。3月の世界選手権(ストックホルム)前も含め「3回ほど入国のトライをしたけどダメで、でも9月7日にルールが変わって入国できて、先生たちと会えた時は泣きまして」(美里)。昨年、日本国籍を取得した尊の実家がある米コロラドスプリングスでも待機しながら、実に18カ月ぶりに戻った本拠だった。リモート振り付けの苦労もなくなり、ようやくストレスなく演技を磨くことができた。

今季のプログラムは6月に発表。リズムダンス(RD)は米国のシックが78年にリリースした「Le Freak」など3曲。ノリノリで楽しんでほしいというディスコナンバーだ。フリーは「SAYURI」を選び、美里は「初めて日本の国をテーマにして滑るので、役に入りすぎてしまう時があるくらい深く感じています。いつかはやりたい滑りたいリストには入っていて(五輪シーズンの)『ここだ!』と。いかに本番で出せるか挑戦」。尊も「日本的なプログラムを(母国)アメリカでやるのは新しい経験。いい作戦。光栄で滑りたい」とうれしそうに同調し、心を合わせた。

来年2月4日の北京五輪開幕まで4カ月を切っている。尊の日本国籍取得によって代表1枠を目指せる権利を得た2人は、残り日数をカウントダウンしてモチベーションを高めているという。「1日1日が早い。五輪シーズンだな、と周りの雰囲気を見てもヒシヒシと感じます。(コロナ禍で)2年半も日本で一緒に練習しながら、世界で戦うようなアイスダンサーはいなかったと思う。これまで応援してくれた方々の支えも誇りに夢をかなえたい」(美里)「頑張って成長していきたい」(尊)と充実の精神状態で初戦を迎える。

アイスダンスRDは日本時間の24日午前5時51分から開始予定となっている。【木下淳】