19年ジュニアGPファイナル王者、佐藤駿(17=フジ・コーポレーション)の初海外GPシリーズは、負傷を抱えながら4位に入る健闘で幕を閉じた。

ショートプログラム(SP)前日の公式練習で転倒し、左の肩鎖関節を痛めたまま迎えた試合。SPは80・52点の5位でフリーは166・53点、総合4位に上がる247・05点をマークした。

この日も、欠場するどころか構成を下げず挑んだ。冒頭の4回転ルッツは着氷が乱れ、続く4回転フリップは転んだ。それでも4回転-2回転のトーループをはじめ3度の連続ジャンプは全て出来栄え点(GOE)プラスを引き出した。

「最初の方は大丈夫だったんですけど、ステップあたりから(左肩が)上がらなくなってきて」。薬を飲んでも痛みはあって「本当に肩が上がらなかったんですけど、それでも最後まで滑り切ることができて良かった」と、やり抜いた。

「もっと満足のいく体調というか、正直、完璧な身体の状態でやりたかったけど、自分の責任なので。体調管理やケアをもっとしっかりしていきたい。一時は棄権するか悩んだけど、この試合に出場すると決めました。内容に悔いは残ったんですが、悪いところが見つかったので良い収穫もあった。今後につながる、とても良い試合だった」と強行出場で確かに得たものがあった。

昨季はコロナ禍で国際大会が軒並み中止。目指す22年北京オリンピック(五輪)へ、ジュニアGPファイナル覇者がシニア2季目を迎えていることも売り出していきたい。ジャンプにミスがあっても一定のスコアは獲得したことも、無理をして出た価値の1つだ。「ステップやスピンのレベルは(演技直後で)分かんらないけど、5コンポーネンツ(演技構成点)が80点台だった。今までは70点台だったので、そこも収穫」。スピンも3回すべて最高評価のレベル4を獲得していた。

もちろん、課題は挙げればきりがない。帰国後は治療しつつ練習を再開。GPシリーズ初戦を総括し「正直、一言で言うと、すごく悔しいなと思っています。でも、ここで終わりじゃないし(11月の第5戦)フランス杯も残っているので。あと1カ月ぐらい時間があるので、今回ダメだたところをしっかりと反省して、次に向けて生かしていきたい」と言葉に力を込めた。【木下淳】