18年全日本ジュニア女王の横井ゆは菜(21=中京大)が涙の1番滑走を全うした。

ショートプログラム(SP)12位で迎えたフリー。「クイーンメドレー」に力を引き出され、冒頭のダブルアクセル(2回転半)からミスのないジャンプを重ねていく。後半の3回転ルッツだけ着氷が乱れたものの、それ以外は納得した。119・30点の合計174・07点。泣きながらキス・アンド・クライへ向かい、取材エリアでも涙が止まらなかった。

前日は悔し涙。この日は意味合いが違った。「加点が付くようなジャンプではなく無理やり降りたような感じにもなりましたけど、よく頑張ったねと。耐えられたね、と客観的に見てもそう自分に言ってあげたい」と自己否定をやめた。

「公式練習もボロボロでホテルに帰ってから悲しい気持ちになってきて、泣きやむことができなくて…」という精神状態だったが「でも絶対に試合には出ようと。私の中では試合に出ることで、頑張ったぞ、となる。正直、前向きな気持ちにはなれなかったんですけど、最後の最後で楽しもうと思って切り替えられたので良かったです。唯一、ステップアウトはあったんですけど、ミスをなくしてくれるような拍手。ありがたく思ってます」と米国の大観衆に感謝した。

歌詞の一節「クヨクヨしている暇はない」に勇気づけられてきたものの「今回もクヨクヨしっぱなし」と涙。しかし「私が完璧な選手ではないことは皆さん、ご存じだと思うので。いい演技を見せることができなかったな、じゃなくて、全力でやろうと思って。その意味では今回、逃げなかったことが収穫かなと。ここ最近、試合で苦しい気持ちを味わうことが多くて、もうこんな苦しみはもうないな、って思うんですけど、それを更新しちゃって。更新しちゃダメなんですけど」と笑いながら「それでも今回、乗り越えられた。ちゃんと試合に出ることで乗り越えられた」と米国まで試合しに来た意味を見いだしていた。【木下淳】