シニア1年目ながら22年北京五輪の金メダル候補に挙がるロシアの15歳カミラ・ワリエワが、衝撃のグランプリ(GP)シリーズデビューを飾った。

トリプルアクセル(3回転半ジャンプ)成功など84・19点で首位発進。同じロシアのアリョーナ・コストルナヤが持つSP世界記録85・45点に次ぐ歴代2位の得点をマークした。フリーは30日(日本時間31日)に行われる。

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またロシアから超新星が現れた。昨季までジュニアだったワリエワが冒頭、3回転半を両手を上げながら着氷。3回転フリップ、ルッツ-トーループの2連続3回転も決めた。技術点1位。それだけでなく、芸術面を評価する演技構成点も5項目中4項目で9点台の1位だった。ビザ発給が遅れ大会直前に渡航。調整への影響も懸念されたが、お構いなしだったことをSP世界歴代2位で証明した。

「すごくうれしい。落ち着いて演技できた」と会見では幼い笑顔も見せたが、実力は大人顔負けだ。3歳でスケートを始め、カザンからモスクワに移って英才教育。19-20年にジュニアGPファイナルと世界ジュニア選手権の2冠を達成した。昨季はコロナ禍で試合がなかったが、その間にシニア転向が可能な年齢に到達。そのGP初戦で世界を驚かせた。3年前の平昌五輪もシニア1年目のザギトワ(ロシア)が金メダル。同じエテリ・トゥトベリゼ・コーチに師事する15歳にも再現が期待されている。

SP世界2位の一方、既にフリーと合計では世界記録を持つ。今月のフィンランディア杯でそれぞれ174・31点、249・24点をマーク。しかもこの時はSPの3回転半で転倒しており、翌日のフリーもノーミスなら更新は確実だ。「明日も今日と同じマインドでいきたい」と完璧を狙う。

この日は21年世界選手権銀のトゥクタミシェワが2位、19年GPファイナル制覇のコストルナヤが3位。ほかにも21年世界女王シェルバコワ、第1戦スケートアメリカ優勝のトルソワらが世界一を争う。その最強ロシア勢を突き上げ、もはや突き抜けた15歳がカミラ・ワリエワだ。【木下淳】

◆カミラ・ワリエワ 2006年4月26日、ロシア・カザン生まれ。3歳になった09年に競技をはじめ、同国のノービス選手権で優勝。ジュニアのGPファイナルと世界選手権2冠もジュニア1年目の快挙だった。SPの自己ベストは74・93点だったが、今大会で10点近く更新した。フリーでは4回転サルコーとトーループを跳ぶ予定。高校1年。趣味はダンスと絵画。160センチ。