ショートプログラム(SP)7位の三原舞依(22=シスメックス)が、ついに過去の自分を超えた。

フリー142・12点を記録し、合計210・01点で4位。ともに自己ベストを更新し、得点が発表されると思わず「やった~!」と叫んでいた。

「『(フリー)140点を出せたらいいな』と思っていて、自分のベストを尽くすことを考えていました。142点をいただいて(合計点の)『210』っていうのが見えて、すっごいうれしくて、ガッツポーズが訳の分からないことになってしまいました」

そう苦笑いし、これまでの歩みを思い返した。

新型コロナウイルスの感染拡大が始まる前の19-20年シーズン。三原の姿はどの競技会にもなかった。体調不良で1年間の休養。体力が落ち、当初は練習のためにリンクに向かっても、滑らずに帰る日もあった。

競技会復帰はコロナ禍の昨季。初めは力を入れて階段を上れば、反動により脚が重くて動かなくなった。もちろん氷の上でも自由自在に体を操れない。そんな状態から昨季は日本勢が大半だったGPシリーズNHK杯、そして今季は本格的に国際大会へ戻ってきた。

この日、冒頭でルッツ-トーループの連続3回転を決めると、次々にジャンプを着氷させていった。最終盤の見せ場となるステップにも感情を込め、曲が終わると頭上で拳をつくった。

「最後のポーズをとった後に『滑り終わっているよね?』というぐらい緊張していました。最後まで集中できていた。滑り終わったのが、自分でも分からないぐらいでした。『最後の最後まで滑り切れて良かった』という思いで一杯です」

スケート熱の高いカナダのリンクで「MAI!」という声援を何度も聞いた。22年北京五輪シーズン。体調不良前の自分を得点で超えたが、五輪代表3枠入りへ、余韻に浸るのは早い。

「1つ1つの試合で、パーソナルベストを更新できるように強くならないといけない。五輪代表になるためには、それだけの練習と強さが必要だと思います。もっともっと上を目指して、レベルアップしたい。反省点を短期間ですが、イタリア大会までに修正して、毎日が試練だと思って、まだまだ頑張っていきたいと思っています」

次戦は翌週に控えるGP第3戦のイタリア大会(11月5~7日、トリノ)。1歩1歩進み、次のハードルを越えていく。【松本航】