高校ボクシングで全国選抜特別大会と全国総体(インターハイ)の2冠を獲得したウエルター級増田祐士(開志学園3年)が来春、日大に進学する。24年のパリオリンピック(五輪)出場をターゲットに大学屈指の名門で腕を磨く。チームメートのバンタム級井上偉心(3年)も日大に進む。

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増田は日大生になる22年の誓いを立てた。「(関東大学)リーグ戦に出て、全日本選手権優勝」。日大は全日本大学王座決定戦(団体戦)で29度の優勝を誇る名門。そこでレギュラーになり、国内の頂点に立つ。あえて高いハードルの設定は意味がある。「いずれは世界で戦いたい。次の五輪を目指す」。見据えるのは24年パリ五輪出場。そのステップとして1年目から勝負をかける。

的確な連打とディフェンスが武器。3月の全国高校選抜特別大会で初めて全国を制した。8月のインターハイは5試合中4試合が5-0の判定で1試合が1回RSC。9月開幕予定だった三重国体はコロナ禍で中止になり全国3冠は消えたが、世代最強の実力を知らしめた。

世界を意識したのは東京五輪女子フェザー級金メダリストの入江聖奈(21=日体大3年)の存在。昨年、女子五輪代表候補の強化練習にパートナーで呼ばれ、入江とスパーリングをした。「女子じゃなかった。すごくパンチ力があった」。その入江が五輪を制した。「自分も続く」。入江とグローブを交え、芽生えた欲は明確な目標に変わった。

高校王座、大学生として立つリングも将来への布石。開志学園の野村孝志顧問(42)は「決め手になるパンチを持てばもっと伸びる」と期待する。「大学では距離の取り方、コンビネーションを磨く」。夢をかなえるために努力は怠らない。【斎藤慎一郎】

◆増田祐士(ますだ・ゆうじ)2003年(平15)6月29日生まれ、燕市出身。吉田中ではバレーボール部に所属し、卒業前に新潟市ボクシング教室でボクシングを始める。戦績14戦12勝(6RSC)2敗。174センチ、68キロ。

▼井上は増田をライバル視する。「全日本選手権で優勝を目指す」と増田と同じく国内トップを目標に掲げた。全国選抜は初戦で、インターハイは3回戦で敗退。全国制覇にかける思いは強い。「リーグ戦に2人そろって出場し、チームに貢献できるようになりたい」と切磋琢磨(せっさたくま)していく。