フィギュアスケート全日本女王の坂本花織(21=シスメックス)が、正月もフル回転で2度目の大舞台に備える。

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2月4日に開幕する北京五輪まで1カ月となった4日、名古屋市ガイシプラザで行われた「名古屋フィギュアスケートフェスティバル」に出演。元日から練習に励み、7日には日本学生氷上選手権(インカレ、北海道・帯広市)に出場する意向を示した。実戦で総仕上げし、目標のパーフェクトな演技を目指す。

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前途洋々な2022年を想像させる、鮮やかなダブルアクセル(2回転半ジャンプ)が決まった。公の場での“初滑り”となったアイスショーのオープニング。赤の衣装を着た坂本は他の女子スケーターとピンク・レディーの名曲「UFO」を踊り、伸びのある2回転半を着氷させた。年始からエンジンは全開だった。

周囲が楽しむ年越しもスイッチは切らなかった。3年ぶりの全日本選手権優勝で北京五輪代表入りを決めた昨年末は、30日に滑り納め。大みそかこそ休養に充てたが、例年は休む元日から氷に乗った。「滑っていないと不安になる。休もうと思ったけれど、結局滑りに行きました」。この日の“初滑り”を経て、3日後に北の大地で行われるインカレへの出場も決めた。五輪前最後の競技会となる。

6位入賞を飾った18年平昌五輪前は、1月に台北で行われた4大陸選手権で優勝。大舞台へと弾みをつけたが、今季は新型コロナウイルスの影響も考慮し、五輪代表の同選手権(18~23日、エストニア・タリン)への派遣は見送られた。フリーのみで争われるインカレ出場は自らの意思に委ねられていたが、迷うことなく参加を決意。五輪の雰囲気を想定しつつ「どんなに緊張してもできるように、ノーミスしたい」と誓う。この日はショートプログラム(SP)「グラディエーター」を演じ、後半のフリップ-トーループの連続3回転などミスなく演技。舞台こそ違うが、SP、フリーをそろえることができれば、本番へ視界は良好だ。

五輪まで残り1カ月-。団体戦では初のメダル獲得が期待され、代表発表後には「団体戦でメダルを取れるチャンスがある。どの選手が選ばれるか分からないけれど、団体にしても、個人にしても、やるべきことは精いっぱいの滑りをすること」と誓った。世界の実力者との競演に向け、まず求められるのは最高の演技。坂本は自分のスタイルで北京に向かう。【松本航】

◆女子の現状 メダル争いは強豪ロシア勢が頭ひとつ抜けた存在だ。シニア1年目の15歳ワリエワの自己ベストは、2位に25・12点差をつける合計272・71点で世界トップ。21年末のロシア選手権も制し、2位に17歳トルソワ、3位が同年世界女王のシェルバコワとなった。同国代表3人は今月の欧州選手権後に決定するが、いずれも世界トップレベルとなりそうだ。坂本ら日本勢は完成度の高い演技が求められる。男女シングル、ペア、アイスダンスの4種目で争う団体戦で、日本は2大会連続5位。今大会はロシア、米国、カナダに続く4番手のポイントで、出場権を獲得した。