小林陵侑(25=土屋ホーム)が、前人未到の2度目のジャンプ週間完全制覇に王手をかけた。合計291・3点で1回目2位から逆転優勝し、同週間3連勝を飾った。18-19年シーズンに4戦全勝の総合Vを果たしており、同じ会場で行われる6日(日本時間7日未明)の最終戦で、史上初の2度目の完全制覇を狙う。W杯は4連勝で今季6勝目、通算は日本男子最多を更新する25勝目となった。

   ◇   ◇   ◇

小林陵がグランドスラムまであと1勝に迫った。2回目、着地でテレマークを決め納得の笑顔を見せた。137・5メートル。待ち構える佐藤幸椰とハイタッチで喜んだ。1回目首位のリンビク(ノルウェー)に重圧を与えた。逆転でのジャンプ週間3連勝が決まると「いいジャンプができて良かったです」と、淡々と振り返った。

1回目137メートルの2位で、首位と5・7点差、飛距離換算で約3・2メートル差だった。今季W杯個人総合首位に立つ男が「めちゃめちゃ緊張しました」と、逆転を狙った2回目。不利な追い風の中、1回目より距離を伸ばした。ミスで135・5メートルにとどまったリンビクを退けた。

王者には貫禄が漂う。もともと第3戦はインスブルック(オーストリア)で開催予定だったが強風で中止となり、今回のビショフスホーフェンで5、6日の連戦に変更された。07-08年以来、14季ぶりの変則日程。この日は、急きょ組み込まれた代替試合だったが「いや、特に」と、動じることはなかった。

今季W杯ではスーツ規定違反の失格に、新型コロナウイルス陽性反応による欠場もあったが「いい休みになった」と受け止めていた。隔離期間に出来ることを探し、出場予定だった試合の生実況をYouTubeで配信したり、トレーニングの時間に使った。緩やかな形状の助走路に苦しむ選手が多い当地でも崩れなかったのは、平常心で取り組めている証しだ。

70回目を迎えた歴史ある大会で、3季ぶり2度目の4戦全勝での完全総合Vに近づいた。最多5度の総合Vを誇るアホネン(フィンランド)ですら1度もない全勝での総合優勝。25歳の日本人ジャンパーが、2度目達成という史上初の快挙に迫っている。3戦までの合計点で2位に17・9点(飛距離換算で約10メートル)のリードを保ち、最終戦を迎える。

◆ジャンプ週間総合優勝 グランドスラムと呼ばれる4戦全勝での総合Vは過去3人。01-02年ハンナバルト(ドイツ)が最初で、17-18年ストッフ(ポーランド)、18-19年の小林陵が達成している。総合優勝最多は5度のアホネン(フィンランド)。日本人の総合優勝は97-98年の船木和喜と18-19年の小林陵の2人。

◆ジャンプ週間 年末年始恒例で、W杯より歴史が古く今回70回目を迎える伝統の大会。五輪や世界選手権と同等かそれ以上の権威のある大会といわれる。W杯を兼ねてドイツとオーストリアで4大会8回の飛躍合計得点で総合優勝を決める。ノックアウト方式を採用している。