体操男子でオリンピック(五輪)2連覇の内村航平(33=ジョイカル)が現役引退を決意した。11日に発表された。

近年は両肩痛に苦しみ、21年2月からは種目別の鉄棒に専念。4度目の五輪となった東京五輪では落下が響き、予選落ちしていた。昨年10月に生まれ故郷の福岡県北九州市で開催された世界選手権では6位だった。五輪では7個のメダルを獲得、世界選手権でも世界最多の6連覇を飾った「キング」が大きな決断を下した。

母国東京で五輪が開催された21年を終え、新たな年を迎えるとともに1つの節目を決めた。内村が競技者としての体操人生に終わりを告げる。

昨秋の世界選手権を終えた直後に進退は熟考する姿勢をみせていた。「試合がないので、とりあえずゆっくり休んでいろんなこと考えたい」「続けるにしても辞めるにしても、相当考えて決めないといけない」と述べていた。

昨年10月のトークショーでは「辞めたいとは1ミリも思ってない。ただ、(日本)代表でやってきて、代表である自分が内村航平であるというプライドがある。そこを取っ払ったら、やれる。最後に決めるのは自分だな。考えに考えて考え抜いて決めようと思いました」と心境を語っていた。

今月上旬から行われた代表合宿には姿はなかった。日の丸をつけて世界と戦うことが難しい現実も、決断を促したのかも知れない。

16年リオデジャネイロ五輪で個人総合2連覇を飾ってからは苦難続きだった。競技人生の“致命傷”となったのが、蓄積疲労が限界を超えた両肩痛だった。治療のために患部への注射を100本以上打ってきたが、「完治はない」と語っていた。痛みの再発の不安も抱えながら東京五輪に出るために、「体操は6種目やってこそ」という信念に逆らい、鉄棒に専念してまで母国での集大成の舞台を目指していた。

体操とは? 昨秋に聞かれると、こう答えた。

「相変わらず、僕にとっては最高、以外ないです。自分が自分であることを唯一証明できるものですね」。

体操=内村航平。現役生活を終えても、それは一生変わらないだろう。

今後については後日に会見が行われる。