レジェンドが大ジャンプを披露した。男子の葛西紀明(49=土屋ホーム)が合計251・1点で3位に入り、今季初表彰台に立った。

1回目に最長不倒となる143メートルで首位に立ち、2回目は129・5メートルにとどまって逆転を許したが、五十路(いそじ)を迎える今年、復調を予感させた。内藤智文(28=古河市協会)が271・9点で逆転優勝。女子は17歳の葛西春香(東海大札幌高3年)が183・8点で制した。

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葛西の表情にはうれしさと悔しさが入り交じっていた。今季初めて表彰台に立った。49歳。W杯メンバー不在のなか堂々の3位。だが、優勝を目前に逃した。「複雑な気持ち。1本目トップということでこれは優勝しかないという気持ちでいた。残念ながら3位、でもうれしいな、ってそういう気持ち」と表現した。

HS越えのジャンプを決めた。1回目、有利な向かい風が吹いた。風に乗って距離をぐんぐん伸ばし、HSを6メートル上回る143メートルで着地した。1回目の下位から飛ぶ2回目は最終飛躍。「めちゃくちゃ緊張した。口の中がカラッカラに乾いた」。他選手の結果が耳に入らないように「あー」と声を出し、独自の呼吸法「レジェンドブレス」で気持ちを落ち着かせようとした。うまく飛び出したが、風が少し和らぎ、1回目ほど距離を伸ばせなかった。

大減量に成功し、調子を上げている。11月のフィンランド合宿からの帰国後の隔離期間で体重が増えた。年末からの減量した数値を聞かれて「ちょっと言えないです…」とためらいながら「6キロ。体がぽっちゃぽちゃだった」と恥ずかしそうに打ち明けた。1月に予定されていたW杯札幌大会の中止が決まり、士気を保つのが難しかった。それでも闘志を奮い立たせ、「ボクサー並みに走り込んで、家のサウナに入った」と減量。「飛んだ瞬間から違う」という身軽さで飛んだ。

10日HBC杯で4位、この日3位と順位を上げる。16日にはSTV杯に出場予定。「2位じゃ嫌ですよね。優勝を狙って豪快なジャンプをしたい」と、9大会連続五輪出場を逃しても元気いっぱいに宣言していた。【保坂果那】