花園近鉄ライナーズの日本代表CTBシオサイア・フィフィタ(23)が、母国トンガへの思いを胸に戦った。

南太平洋のトンガ諸島で15日に発生した海底火山の噴火と津波で、現在も家族と連絡がとれない状況が続く。先発フル出場したフィフィタは「私のルーティンはいつも、(トンガにいる)お母さんに電話をしてから試合に行く。今日初めて電話ができなかった。でも、試合に100%集中できるように、絶対に今日、トンガのみんなに勝利を贈りたかった」と丁寧な日本語で語った。

チームにとっては新リーグの本拠地開幕戦。計9トライを重ね、今季初勝利となった。20年度に天理大を大学日本一へと導いているフィフィタは、攻守で起点となり、後半30分にはトライを奪う活躍を見せた。

「応援席を見たらトンガのフラッグ(国旗)がたくさんあった。日本のみんなが心配してくれている。温かいメッセージももらって、感謝しかないです」

観衆を魅了する変幻自在なプレーで15得点を挙げたオーストラリア代表SOクウェイド・クーパー(33)は「フィフィタは、学ぶ姿勢がある。私も若い頃に、彼と同じメンタリティーだったらもっと成長できていた」と褒めた。さらにクーパーは「コロナ禍でリーグワンの試合がたくさんキャンセル(中止)になっている中で、試合ができたことをうれしく思っている」と語った。