道産子SHが巻き返しの1勝を呼び込む。芦別市出身で、ラグビー「リーグワン」の埼玉ワイルドナイツ(旧パナソニック)SH小山大輝(27)が、23日に行われる横浜との新リーグ初戦(埼玉・熊谷ラグビー場)に臨む。

本来は7日の開幕戦に出場予定も、コロナ禍の影響で中止。2週間遅れの“初陣”となる。昨季は初めてトップリーグ(TL)全試合に出場し、旧リーグ最後の優勝に貢献した。新リーグでも躍進し、自身初の日本代表入りと、23年ワールドカップ(W杯)フランス大会出場につなげる。

   ◇   ◇   ◇

コロナ禍に見舞われ出足でつまずいたが、ここから1勝ずつ積み重ねていく。埼玉は第1、2節が中止となり2試合連続勝ち点ゼロ。苦しい船出も、リーグは始まったばかりだ。旧トップリーグ優勝5度を誇る強豪の一員として小山は「チャンスをいただけたら、自分の武器である守備や、速いボール裁きでアピールしたい」と意気込んだ。

21年は転機となる1年だった。20年12月に結婚し臨んだ昨季、プレーオフまで全11試合に出場(先発2試合)。5月23日の決勝(対サントリー)は後半途中出場し、グラウンド上で優勝の瞬間を迎えた。チームとして1年間無敗(リーグ6勝1分け、プレーオフ4勝)締め。「ラグビー人生初優勝。負けられない重圧の中、誇りを持ち戦い続けられた。その経験は必ず新リーグでも生きる」と、精神的な手応えを口にした。

偉大な先輩たちとつかんだ王座を、簡単に譲るわけにはいかない。19年W杯で日本中を盛り上げたチームメートのWTB福岡堅樹(29)氏が、医師を目指すため昨季限りで引退。小山は「人一倍、練習熱心な人。キックをほめてもらうことで自信をつけてもらうこともあった。寂しいけど、いなくなったら勝てないと言われないように。堀江(翔太)さんも、稲垣(啓太)さんもいる。堅樹さんだけじゃないところを示したい」。“野武士軍団”一丸で、タイトルを取りにいく。

23年にはW杯フランス大会が控える。19年日本大会では、同期のSO松田力也(27)が、初の8強に貢献した。「格好いいなと思うと同時に、悔しさもあった。同じところでやりたい。そのためには今年しっかり、チームに貢献すること」。代表入りへの課題も明確で「キック精度を上げ、いい位置にボールを落とし、チャンスをつくれるか」と言う。常に向上心を持ち、大舞台に立つ日を思い描く。【永野高輔】

◆小山大輝(こやま・たいき)1994年(平6)10月31日、芦別市生まれ。芦別緑ケ丘小(閉校)1年から芦別中まで野球を続け、芦別高1年時に4学年上の兄同様、高校からラグビーを始める。同高3年時に高校日本代表選出。大東大1年でU-19日本代表、3年時に全国大学選手権4強。17年パナソニックワイルドナイツ(現埼玉)加入。同年9月9日コカ・コーラ戦でトップリーグデビュー。19年男子7人制日本代表。171センチ、74キロ。家族は妻。血液型A。

◆リーグワン 1部は昨季TL優勝の埼玉パナソニックワイルドナイツなど12チーム、2部6チーム、3部6チーム。1部は6チームずつ2組に分けホームアンド・アウェー(H&A)方式を採用(TLでは8チームずつ2組に分けての1回戦制)。同一組と2回戦総当たり(H&A各5試合)、異なる組とは1回戦総当たり(同3試合)の1チーム計16試合を行う。地域密着を図り、チーム名に地域が入る。「ホストエリア」を設定し、チケット販売などは各チームが担当。1部上位は海外チームと交流戦・対抗戦へ参戦予定で、22年秋以降の開催を目指す。