V1昇格を懸けた戦いは長野で幕を閉じた。レギュラーシーズン3位アランマーレ山形が、同4位GSS東京に2-3で惜敗し、V1との入れ替え戦進出を逃した。チームは25日、選手、関係者の複数が新型コロナ陽性判定を受けたと発表。北原勉監督(41)や主力選手を欠く中、宮本菜月主将(25)が18得点を奪うなどチーム一丸で奮起した。夢は散ったが、来季の躍進を誓い、胸を張って地元酒田に戻った。

絶対に勝つ-。その思いしかなかった。セット(S)カウント2-2で迎えた第5S。相手のマッチポイント。タイムアウトで選手が声を張り上げた。「絶対にいけるから!」。宮本がスパイクで1点差に追い上げるが笑顔はない。最後は相手のスパイクが決まり敗戦。勝利を喜ぶ相手をコートの隅に座りこんで眺め、数秒間目を閉じた後、思わず天を仰いだ。

右腕でボールをたたき込んだ。第3S途中から出場し、力強いスパイクで18得点をマーク。「酒田に残っている人たちにいろいろな思いを託されたので、やってやろうという気持ちだった」。でも、ベンチにはチームメートと指揮官の姿はない。主将として強気な姿勢とプレーで選手11人の心を1つにまとめた。

司令塔の田村愛美(めぐみ、28)は後輩の分も戦った。今季からセッターコーチとしてチームに帯同。この日が今季公式戦初出場だった。欠場した後輩からは「メグさんだったら心配ない」と言葉をかけられた。在籍6年目。積み上げたものと自分を信じ、何度も放物線を描いた。試合は惜敗したが「ファンの方や(試合に)来られなくて悔しい思いをした選手がすごく応援してくれた。残っているメンバーで戦い切れたことは良かった」と総括した。

宮本は「『もっとできた』という悔しい気持ちでいっぱい。でも、ここで試合ができたことに感謝したい。アランマーレとしては戦い切れたと思うので、胸を張って帰りたい」。入れ替え戦に進み、欠場したチームメートと再び戦うことはできなかったが、やり切った表情を見せた。【相沢孔志】