18年平昌オリンピック(五輪)のスピードスケート女子団体追い抜きとマススタートで金メダルを獲得した高木菜那(29)が5日、引退会見を行った。高木菜は「現役を終えることを決意しました」と述べ、先月のオランダでの最終レースを思い出し、涙を流した。

最後の五輪となった2月の北京五輪を振り返り「高木美帆の姉ではなく、高木菜那として自分の意思で氷の上に立てたことが引退を決意した理由の1つだ」とも語った。

美帆との思い出について「妹がいたからこそ、ここまでスケートを続けられた。世界で戦えることができた。本当に妹で良かった。どんなときでも近くにいたことで安心感があった。乗り越えないといけない壁として、つらい時期もあったが、妹がいなければ今の高木菜那はいない。妹で良かった」と述べた。

引退について美帆に報告した際「いいんじゃない」と言われたという。高木家全員、高木菜の意見を尊重してくれたといい。「兄にも相談したが、2人ともそういう言葉だったのでありがたかった」と述べた。

北京五輪では妹の美帆とともに戦った女子団体追い抜きで、ラスト60メートルの地点で転倒し、惜しくも連覇を逃した。表彰台で悔しさを抑えられず美帆に肩を抱かれながら悔し涙を流したシーンは、国民の感動を呼んだ。

現役生活の1番の思い出を聞かれ「平昌五輪の2つの金メダル」と語った一方で、転倒してしまった北京五輪についても「結果は平昌の方がすごかったけど、仲間の大切さを知れた北京も心に残る五輪だった」と振り返った。

高木菜は14年ソチ五輪から3大会連続で五輪に出場。平昌五輪で金メダル2個、北京五輪で銀メダル1個を獲得した。所属した日本電産サンキョーは3月末をもってスケート部を廃部していた。【三須一紀】