北京オリンピック(五輪)スピードスケート女子団体追い抜きで銀メダルを獲得した高木菜那さん(29)と、金メダル1個を含む4個のメダルを獲得した高木美帆(27=日体大職)姉妹が17日、故郷幕別町で開かれたオンライン町民報告会に出席した。

平昌五輪以来2度目の特別町民栄誉賞を受賞。トークショーでは、現役を引退した姉菜那さんが解説者に名乗り!? 長野五輪500メートル金メダリストでテレビ解説などを務める清水宏保氏(48)に、挑戦状をたたきつけた。

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菜那さんが野望を明かした。トークショーで司会を務める清水氏から今後の活動について問われ「メディア(の仕事)もやっていきたいなと思っていたり。もしかしたら(今後)清水さんのとなりで解説しているかもしれない」。妹美帆に「解説する人って2人もいないですよね?」とツッコまれても全くめげない。「清水さんの場所取っちゃうとか~」と“挑戦状”をたたきつけニヤリ。清水氏は「それだけは勘弁してください。僕の仕事を奪わないで…」とタジタジになり会場は盛り上がった。

冗談めかしながらも、心の中はスケート界に恩返ししたいという思いであふれている。選手生活に終止符を打ち、5日に引退会見を行った。「つらいことの方が多いスケート人生だった。でもその分すごく思い出のつまった人生でもあった。今まで学んできたこと、教えてもらったことを伝える立場にならなければ」と次世代に受け継いでいく。

この日は美帆とともに北京五輪で獲得したメダルを首にぶらさげ、地元の子どもたちと触れ合った。質問にも1つ1つ真摯(しんし)に答えた。「プレッシャーの中で結果を残すためにはどうしたらいいですか?」という問いには「後悔をしないためにその時々でいろんなことを行動に移す。スケートが速くなりたかったら毎日ランニングをしようとか、ただ思うだけじゃなくて。結果を残すためにはまずは行動に移して」とアドバイスを送った。

今後は東京を拠点に北海道など幅広く活動していく予定。報告会後の記者会見では「五輪を通していろんな地域の方々が応援してくださったと心から感じている。スケートが盛んではない地域の人たちにもなにか伝えられることがあれば」と前を見つめて言った。「緑が多くて気持ちが落ち着く場所」とあらためて感じた故郷の空気を味わい、新たなスタートを切る。【山崎純一】

○…幕別町のスケート少年団ら小中学生約170人が高木姉妹と触れ合った。イベントでは姉妹の母校、帯広南商の書道部員たちによる書道パフォーマンスも披露されるなど、会場の様子はオンラインを通じて町民らに配信された。久々に故郷を訪れた美帆は「空気がおいしいなと感じた。たくさんの人たちにメダルをお見せしたかったが、最小限子どもたちと触れ合うことができたのはうれしい」と振り返った。