ショートプログラム(SP)9位の住吉りをん(18=オリエンタルバイオ/明大)は、フリー113・96点の合計174・58点だった。1つ順位を上げて総合8位となった。

冒頭、国際スケート連盟(ISU)公認大会では日本女子初となる4回転トーループの成功を目指した。

スピードに乗り、しっかり軸を取り、勢いよく跳び上がって高く鋭く回転したが、着氷したところでバランスを崩して転倒した。

「4回転は転んでしまったけれど、練習の中で良い方のジャンプを跳べたのは成長したところかな」

一方で「自分にとって簡単だと思っている、自信のあるジャンプで失敗したことが心残り」と悔しがる。

続くルッツ-トーループの2連続3回転や、後半の3回転フリップからの3連続は決めたが、3本目の3回転フリップは乱れて両足着氷。前半最後のループが2回転となったり、最後の3回転サルコーで転倒しそうになって手をついたり、大技以外で苦しんだ。

「心の問題とは分かっているけど、それが緊張なのか気の緩みなのか、まだ分析できていないです」

自分でもまだ理解できない。目標としていた自己ベストの190点台には及ばなかった。

それでも、世界大会で4回転ジャンプに挑んだ。現地入りする前は「調子次第」と話していたが「ここに来る前に比べると、すごく良くなって。軸が外れることはなかった。回転だけの問題。回転は毎回、跳ぶたびに違ったんですけど、軸が外れないので入れようと思いました」と1本目に組み込んだ。

「回転をクリーン判定に近づけて、降りられるかどうかは運次第。先生からも『思い切りいけ』と直前に言われたので、降りることを意識するより、回転をつけるんだと思って臨みました」

結果的には転んだ。今は「悔いが残る演技をしてしまって悔しいし、申し訳ない」。ほかのジャンプのミスに対する反省の念が先にくるが「この悔しさは、来季もっと強くなるための成長の糧になる機会」と受け止めた。

高校最後の年だった今季は全国高校スケート(インターハイ)と冬季国体の国内ジュニア2冠。ただ、全日本ジュニア選手権は2位と悔しさも味わった。

「今までに比べると1歩1歩成長できて、強くなるっていう目標が少しは達成されたけど、達成度が思っていたほどではなくて…。心の弱さが残ったまま1シーズン終わってしまいました」

晴らす舞台への覚悟は、ほぼ固めている。所属も北京オリンピック(五輪)個人銀メダル、団体銅メダルの鍵山優真(中京大)と同じオリエンタルバイオに決まった。

さらなる結果が求められる来季へ「自分としてはシニアに転向したいと思っています」と意向を表明。「今季が終わって、今から先生と相談なのかなと思います」と帰国し次第、最終決断する。

目指すのは26年ミラノ・コルティナダンペッツォ五輪(オリンピック)。殻を破るためにも上のステージへ軸足を移す。【木下淳】