高校ボクシング東北大会決勝が行われ、ピン級では日大山形・安食諒哉(2年)が、金足農・鎌田涼真(3年)に5-0の判定勝ち。昨夏インターハイ8強、今春の選抜ピン級4強の実力を発揮し、技能賞にも輝いた。男子ウエルター級は弘前工・浜田実来(3年)が水沢工・和賀龍希(2年)に5-0の判定勝ちでインターハイに弾みをつけた。

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パンチがよく見えていた。1回の立ち上がりに何発か被弾したが、それ以降はうまくさばいて試合を優位に進めた。安食は「東北新人に比べて上半身を使えていました。パンチが見えていたのでコンディションはよかったと思います」と振り返った。

3回からギアを上げた。開始10秒で相手をロープ際に追い詰め、左右ボディーからの左フックがクリーンヒット。チャンスを逃さず、わずか10秒後には相手の左ストレートをパーリング(相手のパンチを手のひらではじく)でいなし、左ストレート一閃(いっせん)。ダウンを奪った。安食は「東北新人ではダウンを奪えなかった。今回はダウンを取れてよかったです」。今大会は1月の東北新人と全く同じ顔触れ。だが、番狂わせを起こさせることはなく、練習の成果を感じる一戦となった。

インターハイに向けては“距離感”が課題だ。「距離感が昨日の試合と比べてあまりうまくいかなかった」。1回の被弾も距離感の見誤りが原因だった。安食は「インターハイに向けて、どんな相手にも自分に合った距離を取れるように」と修正を誓った。

1年夏に初のインターハイを経験して8強。選抜で4強と確かな成長曲線を描いている。3度目の全国では日本一が目標だ。安食は「これまでの成績を超えて、自分のボクシングで日本一になりたいです」と力を込めた。東北屈指のテクニシャンが日本一に向けてスキルを磨いていく。【濱本神威】

<ウエルター級 弘前工・浜田実来が完勝>

リベンジを許さなかった。浜田と和賀は1月の東北新人決勝でも対戦。その時は浜田が4-1で判定勝ちしたが、この日は5-0の完勝。浜田は「選抜で2位になったことが自信になっています」。気持ちの余裕が完勝につながった。東北新人に続く東北王者にも浜田は「このままじゃインターハイは厳しいと思います」と分析。「スピードやガードがまだまだ。総合的にレベルを上げていかなければと思います」と語った。インターハイまでの残り1カ月で、選抜で味わった全国レベルに到達し、日本一をつかむ。