東京パラリンピック金メダルで、世界王者の国枝慎吾(38=ユニクロ)が、男子シングルス史上初の年間4大大会全制覇に王手をかけた。日本選手対決となった準決勝で同10位の三木拓也(33=トヨタ自動車)に6-1、6-2で快勝し、決勝に進出。決勝では、同2位のアルフィー・ヒューエット(英国)と対戦する。

ウィンブルドンで車いすテニスのシングルスが始まったのが16年。20年は新型コロナウイルスの感染拡大で、ウィンブルドンが開催中止になった。そのため、ウィンブルドンを含む過去5度の機会で、一般テニスと同じ会場で開かれる4大大会男子シングルスの全てを、同一年に制した選手は誰もいない。

2度と経験しないだろう地元開催の東京パラリンピックのタイトル。そして、残されたただ1つのタイトルだったウィンブルドンの優勝。国枝にとって、その2つを達成した今、年間4大大会全制覇は「できればいいかな」ぐらいの気軽な偉業だ。

ただ、一般のテニスと同様に、全豪、全米のハードコート、全仏のクレー(土)コート、ウィンブルドンの芝コートと、異なった3種類のサーフェスを年間で制することは、どのようなプレーにも対応できる王者の証しだ。絶対的な強さと言えるだろう。

その強さを、この日も十分に証明して見せた。「いいところも悪いところも出た」と言うが、4大大会初の4強に進んだ三木を、寄せ付けなかった。決勝は7月のウィンブルドン決勝で、最終セット2-5から大逆転で勝ったときのヒューエットが相手だ。過去15勝12敗と、最大のライバルだが、今年の4大大会決勝では2度対戦し、国枝がすべて勝っている。

◆全米オープンテニスは、8月29日から9月12日まで、WOWOWで全日生放送。WOWOWオンデマンドでも全コートでライブ配信される。