東京オリンピック(五輪)代表のストリーツ海飛(かいと、28=鹿児島ク)が決勝に駒を進めた。

予選プールは6戦全勝。得点30、失点3という圧倒的な内容で第1シードに入ると、初戦の2回戦から馬場正浩、尾矢陽太、谷下尚弥を下して準決勝へ。最後は吉田多聞(法大)を15-9で退け、3年ぶり3度目の優勝に前進した。

勝った瞬間、マスクを外すと、金色に染めた髪が鮮やかに彩った。大絶叫で喜びを表現すると「まず決勝に行くことが目標だったのでうれしかった」と一安心した。

髪色については、同じく金にして7月の世界選手権(カイロ)女子サーブルで初の金メダルを獲得した江村美咲(立飛ホールディングス)の影響か聞かれると「全く関係ない(笑い)。私の方がキレイな金色に染まってるでしょ」と笑い飛ばした。

世界選手権の後、ギリシャと母国の米国に旅行したといい「コロナ後は初めてで、練習もなかったし、染めてみました。米国では家族に会えて、いろいろ話もできました」と語った。

言葉通り、米国人の父と日本人の母の間に、横浜市で生まれた。米国で8歳の時に競技を開始。14年にはペンシルベニア州立大で全米大学選手権(NCAA)優勝し、強豪国の学生王者として期待されたが、翌15年に母節子さんの母国の日本国籍を取得。東京五輪に出場した。

個人は2回戦で敗退。団体も9位とメダルには届かなかった。無観客開催にもなったため、かつて引退しようと思っていた自身の背中を押した母ら家族や友人を招待できず。24年パリ五輪を目指すことを。

「多くの方に私の東京五輪のストーリーを聞いてもらって。でも、私がまだフェンシングを続けたいと思いましたので、自分で決断しました。引退はしないです。28歳ですけど、今からピークだと思いますので。メンタルもフィジカルも上がっているし、パリの前に引退したらもったいないかなと。もっと世界ランキングも(最新36位から)高くなると自分で信じているので、頑張っていきたい」と燃えた。

一方で現在はスポンサー企業が所属として付いておらず、就職活動中だ。練習のない時間帯に企業へeメールを送るなど「今も所属とスポンサーを探しています。大変ですが、ぜひ決勝の前にご興味ございましたら。よろしくお願いします」とアピールした。

その決勝は11月5日に東京・LINE CUBE SHIBUYAで開催される。17、19年大会以来となる頂点へ。相手は2連覇を目指す日本代表の盟友、吉田健人(警視庁)だ。「去年は準決勝で負けまして。借りを返したい。毎回、試合とか練習ではいい勝負になっているので、決勝は素晴らしく、とても面白い戦いになると思います」と闘志を燃やした。【木下淳】