テニスで、19日から女子の東レ・パンパシフィックオープンが、10月3日から男子の楽天ジャパンオープンが、ともに有明コロシアムおよび有明テニスの森公園で開幕する。日本テニス界にとって、待望の国際公式戦の国内開催だ。両大会ともに、19年を最後に、新型コロナウイルスの感染拡大による入国制限で、20、21年大会の開催を中止せざるを得なかった。

両大会ともに3年ぶりの開催となる。しかし、いまだに海外選手の入国は障壁が高く、それをクリアして来日にこぎ着けるのは、主催者に、とてつもない手間と労力が必要とされる。コロナ禍以前と以降では、あまりにも状況は変わった。3年ぶりの開催にこぎ着けた関係者の奮闘ぶりに迫った。

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楽天、東レの担当者の奮闘で、関係各省庁を巻き込み、在留資格、査証(ビザ)の手続きを可能な限り早くすすめた。そして、選手の来日のめどがようやく立ってきた。しかし、今度、円滑な開催の前に立ちはだかったのが、会場の有明テニスの森公園だった。

有明テニスの森公園は、東京オリンピック(五輪)、パラリンピックのために、有明コロシアムを含み、約140億円をかけて東京都が改修した。五輪パラリンピック期間中は、東京都が東京五輪パラリンピック組織委員会に貸し出すという形を取った。

大会後、同組織委員会が仮設設備などを撤収。21年11月末をもって、同組織委員会から所有者の東京都に返却された。今年22年3月に、有明コロシアム、新設された1番コートと8面の室内コートは整備が終わり、一般向けに再開業された。

東京五輪パラリンピック期間中は、もともと計49面だった有明テニスの森公園のコート数を、37面に改修し、コート間に余裕を持たせた設計とした。大会後は、当初の49面に復旧させることが決まっており、その工事が23年3月ごろまで続く。現在は、その工事期間中ということになる。

その影響で、東レ、楽天ともに、コロシアム、1番コート以外の屋外コート大半を試合に使えない。練習コートに行くのにも、工事中の安全確保という理由から、会場内を最短距離で移動できない。遠回りを要求され、余計な労力を使う。

東京都によると、工事期間中は、通常、大会などを開催できないという。そこを特別に、日本での国際大会だからこそ、開催を許可したというわけだ。不便は織り込み済みで開催してほしいというのが本音だろう。

入国制限、会場問題を乗り越え、何とか3年ぶりに開催にこぎ着けた東レと楽天の両大会。ツアー下部の国際大会も、少しずつ国内開催のめどが立ち、徐々にコロナ禍前に戻りつつある。東レ、楽天の2大会の開催が、元に戻る手助けになることは間違いがないだろう。(完)

◆東レ・パンパシフィックオープンは9月19日から25日まで。楽天ジャパンオープンは10月3日から9日まで、WOWOWで全日生放送。WOWOWオンデマンドでも同時ライブ配信される。