南北海道は立命館慶祥が18-7で札幌山の手を下し、初優勝を飾った。過去20度優勝、4連覇中だった王者のディフェンスの裏を、正確なキックで狙う攻撃で3トライ1ペナルティーゴールを奪取。雨中の決戦を制し、初の花園切符を手にした。

どしゃぶりの雨の中、黄と黒のジャージーが敵陣内で躍動した。前半4分。相手が左サイドのタッチに蹴り出そうとしたボールに向かって、1年生のNO8岩崎真浩が体を投げ出した。岩崎に当たったボールをゴール前で短く素早くつなぎ、最後は高校日本代表候補CTB三浦遼太郎(3年)が、左隅に飛び込んだ。

同7分にはFB本田偉士(同)が、敵陣10メートルの位置からペナルティーゴールを成功。前半終了間際にも追加点をあげた。前へのプレッシャーが強い相手選手が、なるべく後ろ向きにボールを追いかけ、前を向けないように、キックでDFラインの裏を狙った。敵陣深くに何度も攻め入り、後半も1トライを追加し、歓喜の時を迎えた。

「15年かかってしまった」。コーチを8年、指揮官として7年目の松田祐一監督(43)が感慨に浸った。最初に決勝進出した12年前も、2度目の11年前も、同じ相手だった。「札幌山の手の目標が“シード校撃破”なら、自分たちは“花園で2勝”を目標にしないと、北海道を抜け出せない」。昨秋の現チーム発足時に、SO久保田慧主将(3年)を中心に、全員で決めた目標だった。

昨冬には、陸上短距離の小池祐貴(27=住友電工)を輩出した陸上部に体験入部。今大会2週間前には系列校の立命館宇治の卒業生で今春に引退した元キヤノンの高島忍氏(30)からも指導を受け、雪辱の時を待った。

8月の地区予選は0-49で敗れたが、当時はスタメン4人が負傷中。心技体のすべてがそろった今大会は、絶対に負けられなかった。久保田と三浦は小学校時代、同じクラブチームの一員で花園の全国大会を経験。中学は別の道を歩んだが「もう1度、立命館慶祥で花園」を合言葉に切磋琢磨(せっさたくま)してきた。「またあの最高の舞台で、そしてあと3カ月、このメンバーで戦える。それがうれしい」。久保田主将が充実した表情で、全国を見据えた。

◆全国大会 全国高校ラグビーは12月27日に東大阪市花園ラグビー場で開幕する。組み合わせ抽選会は同3日に行われ、3回戦までが決まる。