結成3季目で初優勝を狙う「かなだい」こと村元哉中(29)高橋大輔(36)組(関大KFSC)が、初のRD首位発進を果たした。3年連続3回目の出場で77・70点。2年前は村元が負傷、昨年は高橋が転倒した鬼門を突破し、進化を示した。4連覇中の小松原美里(30)尊(31)夫妻組(倉敷FSC)は69・96点の2位で追う。フリーダンス(FD)は24日に行われる。

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「かなだい」が3度目の挑戦で初めてRDをトップ通過した。乱れのないツイズル、猛烈回転のローテーショナルリフトで最高評価のレベル4を獲得。「試合前、前のめりだったのでコーチの話とか聞こえなかった」という高橋は「ちょっと鼻息が荒かったかな」と笑いつつ、村元が「確かにゾーンに入っていた感じ」という集中力で演技を完遂。ISU(国際スケート連盟)公認大会(10月)での自己ベスト79・56点には届かなかったものの、全日本では2人にとって初の70点台でFDへ進出した。

「三度目の正直」だ。結成し、初出場した20年大会はRD直前に村元が左膝を負傷。北京五輪代表の最終選考会を兼ねていた昨年のRDでは高橋が転倒していた。夢舞台を逃す要因となったが、引きずることなどなく自信にあふれていた。

村元「もしかしたら脳が勝手に感じて緊張したのかもしれないけど、ネガティブな、マイナスなイメージはなく演技に集中できた」

高橋「RDは大きなミスを絶対しない自信があるので変な緊張感はなかった」

リフトでは制限時間の7秒をわずかに超え、ディダクション(減点)1・00。しかし、自己分析できている。グランプリ(GP)シリーズ第1戦スケートアメリカでも経験。コンマ数秒の差しかなく完璧に防ぐのは難しいが、村元は「最後の調整というか足をつくのが今日はちょっと遅かったのかな」と説明。認識できていれば次へ問題はない。

マリナ・ズエワ師からは「アイスショーでは緊張しないでしょう。あなたたちのショーを今日は楽しんできなさい」「契約するプーマ社が75周年。プーマのように滑ってきなさい」と送り出され、初の首位発信。念願の初優勝へ、大会4連覇中の小松原組に7・74点差をつけてFDを迎える。

ただ、その時まで引き締める。「今日は今日。明日の練習と明後日の本番に向けて気持ちを切り替え、できることに集中するだけ。全力で滑りたい」と村元が言えば、公式練習で「最高のクリスマスイブにしたい」と話していた高橋も「欲を出さずに。練習してきた以上のことはできない。今できる全てを出したい」と24日へ向かう。【木下淳】