「日本一」の称号をつかみ取る。全日本高校バレーボール選手権(春高バレー)が4日、東京体育館で開幕する。昨年準優勝で2回戦から登場の古川学園(宮城)は5日、安来(やすぎ、島根)-京都橘の勝者と初戦で激突する。U-20日本代表の熊谷仁依奈主将(3年)が、昨年からさらにパワーアップした名門を引っ張り、古川商時代の99年以来となる栄冠に導く。

昨年は全国高校総体準優勝、単独チームの宮城代表として挑んだ栃木国体では優勝を果たした古川学園。春高優勝候補に挙がるチームを統率するのが、1年から正セッターの熊谷だ。21年4強で昨年は準優勝。最後の春高で頂点に立ちたい思いは、全国のライバルのどこにも負けない。

「日本一になりたい気持ちは3年間の中でも強い。周りの人に支えられて自分はここまで成長できたし、チームも強くいられると思うので、日本一で恩返しをしたい」

頼れるチームメートがそばにいる。ドミニカ共和国出身の留学生で身長196センチのエース、タピア・アロンドラ(3年)をはじめ、ミドルブロッカーからアウトサイドヒッターに転向した阿部明音(3年)、180センチの本田凛和(りんな、2年)は、ミドルブロッカーとしてアロンドラの対角に入ることが濃厚だ。熊谷は「ファーストテンポで凛和が生きるから明音や(南舘)絢華、(高橋)陽果里がもっと生きる。凛和の最大の武器はブロック。すごく守りやすくなって、チーム力も上がった」と手応えを感じている。

今年のチームはタレントぞろい。岡崎典生監督(54)は「タレントの個性があるので、見ていてワクワクするようなチームを目指す」と意気込む。2年から主将を務め、世代別日本代表を経験した熊谷については「本当にクレバーで、性格は真面目。どんな時でも自分を見失わない、気持ちの強い選手」と全幅の信頼を寄せる。

昨年の決勝は就実(岡山)に1-3で惜敗し、悔し涙を流した。「今まで先生から教わった技術や考え方を大事な場面で発揮し、1人1人が輝ける試合をたくさんしたい。1試合ずつ成長して、決勝では最強のチームワークとコンビを完成させたい」と熊谷。決勝は8日。2年越しの忘れ物をつかみ取り、有終の美を飾る。【相沢孔志】

◆古川学園・阿部明音(3年=エースとして臨む最後の春高に向け)「自分たちがやるべきことは本当にベストを尽くすことだけ。チームが1つになって日本一を取って終わりたい」