男子ジュニアで岡部凛大郎(江別第三中2年)が逆転優勝した。1回目87・5メートルを飛んで3位から、2回目K点越えの92メートルをマークして、合計199・1点だった。父は98年長野五輪団体金メダリストの岡部孝信氏(52=雪印メグミルク監督)。「お父さんを超えたい」と偉大な背中を追う14歳が、小学4年で競技を始めてから初の歓喜を味わった。

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残り2人を終え、自身の番号が電光掲示板の一番上で輝いているのを確認した。「やっと表彰台のてっぺんに立てるんだな」。小学4年で競技を始めてから、大会での優勝経験がなかった。「体験会で1回」しかなかった“一番”をついに手にして「うれしいです。すごい、すごいうれしいです」と喜びをかみしめた。課題に挙げる飛び出しでの台への力の伝え方も、着地も納得の飛躍だった2回目で、逆転に成功した。

表彰式を感慨深げに見守っていた孝信氏は周囲から「おめでとうございます」の祝福を受け、照れくさそうに「最近は遠くに飛べている。本人は今朝から『イケる気がする』と言っていた。いつも言ってるけど。うれしいです」とうなずいた。

偉大な父の背中を追う。「あこがれの選手はお父さん」と尊敬する。孝信氏が14年3月で現役を引退するまで、現地で観戦していた。長野五輪は生まれる前だが、勇姿をテレビで何度も見て「すごいかっこいいと思った」。ジャンプを始めることに迷いはなく、自ら志願した。

金メダリストの父と比較されても、その期待と重圧を力に変える。「お父さんを超えたい。まわりからいつか『岡部孝信の息子』じゃなくて、『岡部凛大郎の父が岡部孝信』って言われるくらいの選手になりたい」と夢を描く。

空中での伸びが持ち味の14歳。米国コミックのヒーロー「アイアンマン」デザインのヘルメットは、父の後輩でもある14年ソチ五輪団体銅メダリスト伊東大貴氏(37=雪印メグミルクコーチ)から譲り受けた宝物だ。次の目標は8日の全国中学での日本一。「今日の優勝の勢いで中体連も優勝したい」と掲げていた。【保坂果那】

◆岡部凛大郎(おかべ・りんたろう)2008年(平20)6月19日、江別市生まれ。江別第一小4年から札幌ジャンプ少年団で競技を始める。江別第三中1年での全国中学は19位。166センチ、48キロ。家族は両親。名前の由来は「りりしく大きな男に育って欲しい」という願いが込められている。