バスケットボール女子Wリーグの名門シャンソン化粧品シャンソンVマジックで、大量の選手や監督が欠場する異常事態が続いている。

昨年12月からチームに同行しない選手が続出。その数は年が明けてさらに増え、多いときには10人の選手が試合同行メンバー外に。李玉慈監督(70)の姿も会場から消えた。若手主体とした7、8人程度の少人数で試合に臨む状況が続く。

複数の関係者の話を総合すると、チーム内では以前からベテランと若手との間にひびが入りかけていた。そうした中、昨年12月4日の皇后杯第2次ラウンドで東京医療保健大に敗戦。学生相手に敗れたことで、亀裂は完全に修復不可能となった。チームは若手を残す道を選んだ格好だ。

すでに昨年末には一部選手が退団、退社。韓国出身の女性指揮官、李監督もチームを去ったとの情報もあるが、公式アナウンスは一切ない。

勝利を目指すため、選手たちが意見をぶつけ合うこと自体は悪いことではない。一方で国内トップリーグに所属するチームとして、現状説明がないがしろにされていることはファンに不誠実だ。SNSではチームで何が起きているのか心配する声や、説明がないことに不信や不満を唱える意見が多い。

この件についてWリーグはシャンソン側への事情聴取を重ねており、事態を把握。事務局は「事実に基づいた情報を早くファンに伝えるよう、チームに促している」と語る。

一方でシャンソンのチーム幹部は「選手の去就については、例年同様シーズンオフに発表したい」。4月のプレーオフ終了まで詳細を公表しない方針で、「今はプレーオフ圏内の上位8チーム入りを目指して戦う大事な時期。選手たちを試合に集中させたい」と述べた。現在、リーグ戦は小休止期間で、25日から再開される。

リーグ優勝16度の名門シャンソンは昨季レギュラーシーズン6位で、プレーオフに進んで4季ぶりに4強入り。シーズンオフには精力的に補強を重ね、今シーズン開幕前には優勝候補に推す声も上がっていた。17季ぶり頂点を目指す今季はここまで10勝8敗の6位で、上位8チームが進出可能なプレーオフ圏内につける。【奥岡幹浩】

◆シャンソン化粧品シャンソンVマジック 1962年創設、静岡市をホームタウンとする女子実業団チーム。日本リーグ時代を含めると16度のリーグ優勝を誇る名門で、90年から99年にかけて10連覇を達成した。全日本総合選手権優勝10回。昨季のWリーグ新人賞で22年ワールドカップ(W杯)日本代表の吉田舞衣らが所属する。