フィギュアスケートのアイスショー「スターズ・オン・アイス」が30日、大阪公演(東和薬品RACTABドーム)で開幕した。出演した五輪2連覇の羽生結弦さん(28)は冒頭での演技の後、大トリで14-15年シーズンのフリー「オペラ座の怪人」を4回転ジャンプもまじえて滑り抜いた。

この場で滑ることに意味があった。

「中国での衝突の事故とか、自分が病気やケガにすごく苦しんだシーズンのプログラムだったんで、長い期間、自分でもうこれは滑らないって思って、ある意味封印してきたプログラムです」

14年11月上旬、中国杯では練習中の衝突事故でケガを負いながら2位。その次戦として臨んだのが、今ショーの会場である東和薬品RACTABドームでのNHK杯だった。

2月の東京ドームでの単独ショー「GIFT」で、久々に再演した。封印を解くと、「このプログラムもっと完成させたものをもっと体力のある状態で、しっかりと滑りきれる状態で、このプログラムを皆さんにお届けしたいな」。そんな希望が生まれた。

それをかなえる場所として、今会場ほどふさわしい場所はなかった。

「その衝突事故の後すぐにこの会場で滑っていて、あの時は事故の影響も少なからずあって、うまく滑れなかったので、そういった意味でも、ここの会場でいい演技ができたらいいなという思いも込めて滑っています」。

9年前のNHK杯では、ケガの後遺症を言い訳にせず、力を振り絞った演技で4位。GPファイナル進出を決めたが、時を経ての再演に、深い意味を込めた。

ショー後のインタビューでは、世界選手権で王者となったばかりの宇野昌磨、坂本花織、三浦璃来、木原龍一らと同席。「なんか懐かしいな。緊張するな」と笑顔を見せる場面もあった。

アイスダンスのチョック、ベイツ組(米国)も含め、世界選手権の4種目の王者が集ったショーは、奥州(岩手)、横浜を回り、4月9日まで行われる。