レスリングのパリ五輪アジア予選は19日、キルギス・ビシケクで男子フリースタイルが行われ、65キロ級の清岡幸大郎(23=三恵海運)が準決勝で中国選手に勝って、上位2人に与えられる五輪出場枠を獲得し、初の五輪代表に決まった。

自信あふれる姿だった。5-0で迎えた第2ピリオド序盤にタックルから背後を取ると、相手の股に頭を突っ込んでローリングを連発。11-0として圧勝。ガッツポーズはなく、周囲に「落ち着け」と言わんばかりに両手を上下させた。

昨年末の全日本選手権では東京五輪覇者の乙黒拓を下して予選切符を手にした。驚く周囲に反し、「実績はすごいが、勝つと思っていた」。22年12月に48歳で急死した父義雅さんには幼少期から「人と比べなくていい」と諭された。成績差に臆さずに、勝ちきった。

その自信をさらに強くしたのが、この1カ月だった。元総合格闘家の山本美憂さん、パリ代表の樋口黎、桜井つぐみを支えるメンタルトレーナーに師事。イメージトレーニングが日課になった。頭の中で試合を組み立て、ノートに細かな課題を書き留め、毎日反省し、次に生かす。その過程で「想定外を減らす作業」を続けてきた。

「絶対に勝つ」。試合前の言葉を現実にした高知県出身の新鋭。「ここは金メダルを取るための通過点。パリまで突っ走っていく」と気勢を上げた。