男子テニスでアジア人最高位の世界ランキング4位に輝いた錦織圭(36)が1日、今季限りでの現役引退を発表した。Xを更新し「『やり切った』と胸を張って言える自分がいます」と表明した。16年リオデジャネイロ五輪で日本勢96年ぶり表彰台となる銅メダルを獲得。跳び上がって打つ代名詞の「エア・ケイ」などを武器に、日本を世界水準へ押し上げたパイオニアだが、近年は故障が相次いだ中で大きな決断を下した。

錦織は男子テニスでは大きくない178センチ、73キロの体で、長く世界のトップ戦線でプレーした。時速200キロを優に超えるサーブを持つ猛者たちに対し、どう優位に立つか。優れた戦術眼が最大限に発揮されたのが「いつも(試合の)鍵になる」と言う巧みなリターンだった。

トップ選手のサーブに対応するには徹底した研究が欠かせなかった。2011年から約9年間、コーチを務めたダンテ・ボティーニさんは「100人以上の選手の特徴などを記したメモが、私の携帯電話には入っている」と証言する。

蓄積した情報を基に、ライバルのくせを頭にたたき込んだ。試合中、相手に変化を見て取ると、立ち位置や返球の質を変えもした。全仏オープン元王者のマイケル・チャン・コーチと、どんどんベースラインの内側に入る攻撃的なプレーを磨き、リターンはすごみを増す。14年全米オープン準優勝や16年リオデジャネイロ五輪銅メダルの快挙の原動力になった。

競技を始めた5歳の頃から競技関係者に「戦略的なゲームセンスがあり、素質があった」との評価を受けていた。その天賦の才を飽くなき向上心で開花させ、日本テニス史で開拓者となった。(共同)