【オスロ(ノルウェー)23日=松末守司】女子ジャンプ世界最年少の金メダルが見えた!

 ノルディックスキー世界選手権が当地で開幕した。25日の女子ジャンプに初出場する14歳の高梨沙羅(北海道上川中2年)は、開会式前の23日の公式練習で3回ともトップ記録となる100メートルを越える大飛躍をそろえた。前日22日も1人だけ3回とも95メートルのK点越え。19、20日にオーストリアで行われたコンチネンタル杯(C杯)で2連勝した好調を堅持。14年ソチ五輪の新種目候補になっている同競技で、新星が飛躍する。

 公式練習の主役は14歳の高梨だった。23日は1回目に102・5メートルを飛んでトップ記録を出すと、2回目も同記録をマーク。3回目は101メートルで3回とも1位記録で100メートル越えをそろえた。出場選手で唯一3回とも95メートルのK点越えとなった22日には「飛びやすい台です。調子はすっごくいい」と絶好調宣言したが、それをさらに上回る大飛躍だった。

 19、20日のC杯で連勝。参戦6戦中4戦で表彰台に上がった。同杯はここまで19戦が行われたが、わずか6戦で総合11位に上昇した。海外メディアが日本メディアに取材する場面もあり、すでに世界が「TAKANASHI」の世界基準の強さに注目している。

 遠征には兄寛太(18=北海道・北照高)と同じ名前を付けたサルのぬいぐるみを持参している。兄の背中を追って競技を始めた。大会では自分のことを後回しにしてスキー板のワックス塗りを買って出てくれる。「一緒に行こう」の約束は果たせなかったが、心は常につながっている。兄寛太も「あんなに努力する14歳は見たことない」とエールを送る。

 女子競技は前回09年リベレツ大会(チェコ)で初めて採用された。25位に終わった全日本を3度制した同競技のパイオニア、山田いずみさん(32)も「次の世代を背負っていってほしい」と期待する。同大会で山田さんが使用したヘルメットを、高梨は自宅の部屋に2人のツーショット写真と一緒に飾っている。

 ソチ五輪の新種目候補になり、国際オリンピック委員会のジャック・ロゲ会長は、今大会が重要な判断材料になると明言している。日本代表の渡瀬コーチは「順当にいけばメダルに近い」。22日に「欲を出さずトップ10を目指す」と控えめだった高梨も23日の練習後は「トップ6を目指したい」と目標を上方修正した。