“時間差背負い”で金メダルを取る!

 柔道女子のロンドン五輪代表合宿が6月30日、北海道・釧路町内で公開された。28日の柔道初日に試合を迎える48キロ級の福見友子(27=了徳寺学園職)は、得意の背負い投げに入るまでのタイミングなどを変化。福見の技を知り尽くした外国人選手の、さらに上を行く「変幻進化」で、ポスト谷亮子として力強く「金メダル獲得」を宣言した。

 流れ出る汗や弾む息も、すべてが充実の証しだった。代表決定から1カ月半。五輪までの課題を聞かれた福見は「すごく充実してやれている。体調面もケガなく良い感じで来られている。これを崩さないようにすることが、課題ですね」と、笑みを浮かべて答えた。

 谷が1人で築いた五輪48キロ級。柔道競技の先陣を担う大事な階級で、勢いをつける。そのために、五輪を前に新たな武器をつくることを決めた。その名も「時間差背負い投げ」。技に入るタイミングや掛ける方向を、これまでのタイミングからわざと“崩す”。変幻背負いで相手を投げる-。前日29日に首脳陣と行った対戦相手のビデオ研究で、その道筋が見えた。「どの選手も日本人を警戒して、研究してやってくる。それに負けじと、こっちも研究してやっていきたい」。

 背負い投げは小学2年で始めた柔道で、最初に習った技。この技を軸に、20年の柔道人生を生き抜いてきた。その分、外国人選手にも手の内は知られている。そこでタイミングをずらせば、相手は戸惑う。女子の園田監督は「同じ背負いであっても入り方がちょっと違えば、相手は『えっ?』となる。何かが違うと思わせてしまえばいい。これから何年も勝とうという話でない。1回きり勝てばいいので」と明かした。研究されること必至の得意技に、さらなる改良を。相手の1歩上の進化を見せる。

 6月26日で27歳になった。ただ、誕生日は出稽古先で迎えて、先生らと乾杯した程度。「そういう気持ちは五輪が終わってからでいい。今は柔道が楽しい。勝つために考えて練習していて、心も落ち着く」とまで言った。7階級で3番目の年長戦士は「ちょっとアラサーですね。ベテランの雰囲気を出しちゃおうかな」とけん引役も自覚する。「27歳の誓いは、金メダルを必ず取ります」。福見は、迷いなく宣言した。【今村健人】