<W杯スノーボード>◇26日◇スペイン・シエラネバダ

 スノーボード界に、期待の新星が現れた。ソチ五輪で新採用されたスロープスタイル男子のW杯最終戦が行われ、角野友基(16=アルツキララク)が初優勝を飾った。今季3戦の合計で、種目別でも優勝した。初めての表彰台で、一番上に立った。「ベストを尽くして優勝できたことがすごくうれしい。自信になる」と手応えをつかんでいた。

 大舞台で、完璧な滑りを見せた。「1回目は転倒しないような技の組み立てをした」と話したが、トップの88・00点。2回目はジャンプで高難度の技を決め、ただ1人90点台となる94・00の高得点を出した。

 幼い頃から、活躍を期待されていた。8歳で競技を始めると急成長。まだ小学生ながら、スポンサーと契約。11歳の“プロボーダー”が誕生していた。

 海外と日本を行ったり来たりの生活。それでも、日本への思いは強い。東日本大震災のときは長野に滞在中だったが、直後に海外遠征のため出国した。そしてその3月、カナダで行われたスノーボードイベントで準優勝。賞金8000ドルの半分を被災者のために寄付した。当時、14歳。「東北の人はもっと大変な思いをしている。自分なりの東北への応援の気持ちだった」と振り返る。

 昨年12月の世界最高峰のストレートジャンプコンテスト「エア&スタイル」(北京)でアジア人として初優勝。「バックサイドトリプルコーク1440」という、体の回転の軸をずらしながら縦3回転、横4回転する難技を成功させた。

 夢見るのは、ソチ五輪だ。「日本でもいろんな人が見る大会。(競技を)知ってもらう機会になる。五輪に出ることができたら、表彰台を狙いたい。難易度の高いトリックにも挑戦したい」。大舞台に向けて、さらに成長を続ける。

 ◆角野友基(かどの・ゆうき)1996年(平8)5月18日、兵庫県三木市出身。父の影響で、8歳からスノーボードを始めた。11歳でスポンサーが付き、プロとして活動。12年12月のストレートジャンプコンテスト「エア&スタイル」でアジア人初優勝。日出高(東京)の通信制に在籍しながら、海外の賞金大会などを転戦。今季からW杯に参戦し、これまでは第2戦の12位が最高だった。滑りを大きく見せる、ダイナミックさが持ち味。ももいろクローバーZが好きで、試合前も聞いている。173センチ、63キロ。A型。