バレーボールの全日本男女選抜大会第1日の1日、アクシデントが起こった。パナソニックの伊東勇樹(25)が男子1次リーグの星城高(愛知)戦の練習中に、レシーブで床に飛び込んだ際、コートからはがれた19センチの木片の一部が腹部に刺さった。そのまま救急車で大阪市内の病院に搬送されて手術を受けた。刺さった木片の入り口部分を3針、出口部分を2針縫って入院。全治2週間と診断された。警察が駆けつけて、ものものしい空気に包まれた。

 床が刺さった!

 「え?

 どうした」と伊東のもとに選手たちが駆け寄った。誰もが一瞬、何が起こったか分からなかった。ただ伊東の手にはぽっきりと折れた約15センチの木片が握られていた。自分の腹部を見つめる伊東に選手全員が駆け寄った。会場を去る伊東を心配そうに見つめながら、破損したコートの床を選手たちが囲んだ。

 まさかの事故が起こったのは1日午後5時23分ごろ。3セット目と4セット目の合間の練習時間、伊東が、レシーブするために床にヘッドスライディングした。その際に床の木片がはがれて、伊東の腹部に刺さった。練習相手だった元日本代表で五輪出場経験もあるベテラン山本隆弘(34)が「マジか?」と驚いた。伊東はそのまま救急車で大阪市内の病院に運ばれた。

 刺さった木片は約19センチ。胸から腹に向かい、表面の脂肪部分を貫通した。脂肪の下の筋肉には傷がつかなかった。手術では木片の入り口を3針、出口を2針の合計5針を縫って入院。全治2週間と診断された。大阪府バレーボール協会の河合信行理事長(68)は「46年間競技に携わってきたが、聞いたことがない」。

 試合は応急処置として、はがれた床に粘着テープを貼って続行された。チームが3-1で勝利した後に警察官が駆けつけて、現場検証を行った。床は約42センチもはがれていた。大阪府警は事故、事件の可能性も視野に捜査を始めた。

 ボディメーカーコロシアムは87年に改修後、床の部分的な補修はしたが、全面張り替えはしていない。施設を管理する南海ビルサービスは4月28日に点検を行った。同社の事業開発本部、辻河伸晃係長(39)は「異常はなかった」。

 はがれた床はパテで埋められ、その上に粘着テープを貼って補修された。大会実行委員会は同日深夜、今日2日も予定通り試合を行う方針を発表。試合前にコートの最終点検を行う。【辻敦子】

 ◆ボディメーカーコロシアム

 大阪府民の体育振興のため1952年(昭27)に完成。老朽化と新たな需要に応えるため87年1月に改築された。昨年4月1日から3年のネーミングライツ契約で大阪府立体育会館が現在の愛称になった。地上4階、地下2階。最も広い第1競技場は固定座席3131で、移動座席3000も設置が可能。バレーボールのコートは4面とれる。3月の大相撲春場所、ボクシングにも使用される。住所は大阪市浪速区難波中3の4の36。