19年ラグビーW杯日本大会の会場の1つで8月に改修工事を終えた埼玉県営熊谷ラグビー場(同県熊谷市)周辺で20日、本番に向けた「観客輸送テスト」が実施された。

熊谷市はアクセスを課題とする。最寄りのJR熊谷駅から会場まで約3・5キロある。本番の2万人以上を想定し、駅近くの市役所と近隣自治体から会場まで約150台のシャトルバスを走らせた。また、市は過去大会を参考に徒歩移動も推奨した。駅周辺では徒歩マップも配布され、通称「ラグビーロード」を50分歩いて移動する人も見られた。

午後3時からは、こけら落としのパナソニック対キヤノン戦が行われた。約1万4000人が集結し、埼玉県警も警備に当たった。試合終了後には雨が降り出し、バス停には長蛇の列ができ、駅近くでは渋滞が発生した。特に目立った混乱は見られなかったが、観客からは「バス停から会場までが遠い。なかなかたどり着かない」「帰りの徒歩は暗くて怖い」などの声が上がる一方、「つらい移動を忘れるぐらい会場がきれいで豪華だった」「観客席の傾斜がある分、見やすかった」「バスの台数も多く、思ったよりスムーズだった」と賛否両論の意見があった。市担当者は「検証結果をまとめて、本番への対策を考えたい」と話した。

W杯の他会場は本番に向けて2万人規模の代表戦や大規模興行で輸送や警備のテストを行っていたが、市は過去に同規模の受け入れを経験したことがなく、なすすべがない状態が続いていた。「今できること」としてこの日、輸送テストを実施した。