18年開学の新潟食科農業大が、20年4月に男子ラグビー部を創部する。指揮を執るのは、東福岡を花園3連覇(09~11年度)に導いた名将・谷崎重幸監督(61)。

同大で28日に創部会見を行った。県内私学では初のラグビー部誕生。関東大学リーグ戦参入を下部から目指す。ラグビーW杯日本大会で盛り上がるラグビー熱を来年以降も持続すべく、ラグビー界を盛り上げていく。

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メガネの奥の両目が、若者のように輝いた。谷崎監督は「ワクワクするものがある」と言った。ラグビー部に創部から関わるのは、ベテラン監督にとって初体験。だからこそ、やりがいを感じていた。「選手0、監督1。マイナスではなく、ゼロというのがいい」とチームの土台作りに意欲を見せた。

今年7月にオファーを受けた。以後、県内の高校はもちろん、県外の高校の夏合宿にも出かけ、選手の勧誘に動いた。12月に開幕する「花園」にも勧誘に出向くつもりだ。新潟食農大は18年の開学で、2学年250人の小規模大学ながら「最低でも15人を集めてスタートしたい。W杯開催で波が来ている」と語った。

谷崎監督は「チームのために選手が考え、判断し、行動する。個性の違う選手が、お互いを尊重してひとつのチームになる」と語り、主体性をキーワードに、選手の個性と長所を生かしたチーム作りを目指す。「『オレについてこい、オレの言うことを聞け』ではダメだった」。転機になったのはニュージーランドでのラグビー留学。東福岡を休職し01年から3年間、本場でラグビーを学んだ。

その後、東福岡を率いて全国高校ラグビーで09年から3連覇。ニュージーランド留学で学んだ言葉を参考に、高校日本一まで登り詰めた。「18歳以下の選手には『NOとDON`Tを絶対使うな』と言われた」。ダメと押さえつけられた選手はチャレンジしない。「NO、DON`T」を取り払って自然とチャレンジする環境を整えた。

「チームのために、どれだけ体を張れるか。どれだけ痛い思いができるか」。谷崎監督は新潟の地から、チームのため、献身的なディフェンスをする集団を作り上げる決意だ。【涌井幹雄】

◆谷崎重幸(たにざき・しげゆき)1958年(昭33)4月17日、三重県出身。志摩高-法大。現役時代はFB、SO。東福岡では「花園」で優勝4回。09年から11年まで3年連続全国大会3冠(選抜、国体、花園)を達成。13年から4年間、母校の法大監督を務める。170センチ、70キロ。血液型O。

◆新潟食料農業大学 2018年開学。食料産業学部、食料産業学科だけで現在、2学年250人。2年からの選択コースにはアグリコース、フードコース、ビジネスコースの3コース。農場から食卓までをカバーする「食」の総合大学を目指す。指定強化部は、自転車競技部が開学と同時に創部。20年4月にはラグビー部とともに柔道部も創部予定。胎内キャンパス(胎内市平根台2416)と新潟キャンパス(新潟市北区島見町490)がある。